今や多国籍グループが珍しくなくなった韓国アイドル界では、日本人メンバーが多数活躍している。そうした中、「NCT127」の東京ドーム公演の中継で起きた日本人メンバーに対する“差別演出疑惑”をデイリー新潮は報じたが、同様の疑惑が別の女性アイドルグループでも起きているという。“差別疑惑”のある広告を掲載した企業や所属事務所に見解を問うた。
【写真】日本人メンバーのジゼルだけ「写真が変」“日本人外し”の疑惑がある広告
東京ドーム公演で起きた“日本人外し”
まずは、5月28日に行われた「NCT127」の東京ドーム公演での日本人メンバーへの“差別疑惑”を振り返ろう。
ファンが問題視したのは、WOWOWで放送された公演の生中継の映像だ。
「コンサートの最後の曲が終わると、メンバー9人がゴンドラに乗って、会場のファンに手を振ったりポーズを決めたりする演出がありました。WOWOWの中継では、メンバー1人1人のソロカットの映像が数秒ずつ流れたのですが、8人のメンバーを映したあと、日本人メンバーのユウタだけは、まるでその場にいなかったように、1人だけソロの映像が流れないまま中継が終了したんです」(中継を見たファン)
これ以外にも、韓国の音楽番組に出演した際にユウタのソロ映像がカットされるなど、「NCT」には数々の“差別疑惑”があり、ファンは批判を続けてきた。そして、今回、日本人メンバーの扱いが問題になっている女性アイドルグループも、「NCT」と同じくSMエンタテインメント所属なのだ。
1人だけ顔にモザイク
“差別疑惑”が噴出したのは、2020年11月にデビューした韓国人2人、中国人、日本人で構成される女性4人組のaespa(エスパ)である。
「エスパは、仮想世界にメンバーそれぞれのアバターが存在するという謎めいた設定が新鮮なアイドルです。デビュー曲『Black Mamba』のミュージックビデオは、K-POPアイドルのデビュー曲の中で最速で1億回再生を突破するという記録を打ち立てました。初めての来日イベントが8月に予定されており、日本での人気もますます高まっています」(K-POPに詳しいライター)
日本人メンバーのGISELLE(ジゼル)は、日本語でメッセージを発信することも多く、エスパの日本での人気を支えていることは間違いない。
「日本人の父親と韓国人の母親を持つジゼルは、韓国生まれ日本育ちだそうで、英語も堪能。ですが、韓国の芸能界では、日本人というだけで色々と差別されるのでしょうか……。特にひどかったのは、2020年にエスパが年末の歌番組に出演したことを報じたネット記事でした。韓国のテレビ局など複数の媒体が、収録を終えたエスパのメンバーの様子を写真付きで報じたのですが、映り込んだ一般人と同様にジゼルの顔にモザイクがかけられていました。当然、他の3人のメンバーはきちんと顔が映っています」(同)
他にもジゼルへの“差別疑惑”がある。
「昨年末、YouTubeに公開されたミュージックビデオの撮影に密着した動画でのことです。メンバーそれぞれに、ソロのシーンのセットが組まれていたのですが、ジゼルのセットは鉄パイプがあるだけと、他のメンバーに比べてすごく質素でした。撮影現場にいた事務所の先輩歌手・BoAがそれを見て『他のメンバーは背景が派手なので、1人でも物寂しさはないけど、ジゼルは人物しか目に入らない。セットがイマイチ』と言って、監督に変更を依頼していたほどです。他にも、歌番組に出演した時に、1人だけインスタに写真が掲載されなかったことなど、疑惑を挙げればキリがありません」(同)
日本で人気の化粧品ブランドが差別?
さらに、最近になって日本でも人気の高い韓国の化粧品ブランドの広告で、ジゼルへの“差別疑惑”が立て続けに起きた。
1つめは、韓国コスメブランドの筆頭で、アイシャドウやクッションファンデが日本でも人気の「CLIO(クリオ)」の広告だ。
「今年5月にクリオの日本公式ツイッターが謝罪するハメになったファンデーションの広告です。クリオは、ジゼルを除くメンバー3人の写真だけを掲載。ファンから『ジゼルがいないのはおかしい』と指摘が相次ぎましたが、よりによって、日本向けの広告で日本人のジゼルを外すのかと驚きました」(同)
その後、クリオはツイッターを更新し、ジゼルの写真を掲載。ジゼルだけ除け者になっていた理由について、下記のように釈明した。
〈ジゼルの画像の広告審議が大変遅くなり、4人のコンテンツでのアップデートが遅くなりました。クリオはエスパ全員のメンバーを応援していますので、ご了承ください。大変申し訳ございません。〉
1人だけ小道具無しでスタジオ撮影
田中みな実がシートマスクを愛用していることで知られる「メディヒール」が今月21日、インスタグラムに公開した写真も物議を醸した。
「他のメンバーが商品や小道具を持って屋外でロケ撮影をしている中、ジゼルだけ何も持たず、スタジオの白バックで撮影した写真なんです」
実際の投稿を見れば、他のメンバーとの“差”は歴然。違和感を覚えたファンからは、コメントが殺到した。
〈なぜジゼルだけ他のメンバーと違うのか〉
〈ジゼルを平等に扱ってください〉
〈ありえないです、もう買いません〉
その大半は英語のコメントであることから、日韓以外のファンの中でも問題になっていることが分かる。
ジゼルの撮影方法に違いがある理由、差別的意図があったのかどうかをメディヒールの日本総代理店に問い合わせたところ、下記のような回答があった。
〈aespaと弊社は契約関係にないことは予めご理解ください。当事者ではない弊社からは詳細について説明出来かねますが、差別的な意図は一切ないことと認識しております。〉
SMエンタの見解は?
先のNCTとエスパは、韓国芸能事務所大手SMエンタテインメント所属という共通点があるのは先述の通り。SMエンタテインメントジャパンに“差別疑惑”について問い合わせたところ、
「(ジゼルの件について)そういったことについては、一切答えられない。こちらでは広告の審議を行っていないので、マネージメント業務をしている韓国の事務所に聞いてほしい」との答えだった。
そこで、韓国のSMエンタテインメント本社に対しても質問状を送ったが、期日までに回答は無かった。
デイリー新潮編集部