苦笑交じりにつぶやくのは、一連の裁判を追いかけてきたある記者の弁だ。21日夕、芸能マスコミなどを通じて一斉に報じられたあるニュースについて触れた際に思わず漏れた一言である。
この日、タレント・熊田曜子(40)が、所属事務所を通じて、実業家の夫、A氏との離婚を発表。この事務所発表を報じたニュースは、注目度が高いものを取り上げる大手ポータルサイト「Yahoo!ニュース」のトピック欄、いわゆる「ヤフトピ」にも掲出された。
全ての始まりは熊田の浮気疑惑
私生活の一挙手一投足までが耳目を集めるのが芸能人の性だ。
1990年代からグラビアタレントとして活躍し、結婚・出産を経た後も「ママタレ」の先駆けとして芸能界の一線を走り続ける熊田もその例外ではない。
とはいえ、熊田に訪れた人生の節目に関する一報が、これほどまでに注目されたのには、ワケがある。
「熊田とA氏の対立は、3年前にまでさかのぼります。A氏が熊田の浮気を疑い、行動を起こしたことが全ての始まりでした。熊田との不貞の相手として疑いが向けられたのは大手キー局の社員のB氏。熊田とB氏は、熊田がレギュラー出演していた番組を通じて面識があった。
A氏は、2人が深い関係にあることをうかがわせるようなプライベートのやり取りをしていることを知り、浮気の証拠をつかむための調査を実施。その調査結果を踏まえて2021年10月、熊田とB氏を相手どって民法上の不法行為に当たる『不貞行為』による損害賠償を求める提訴に踏み切ったのです」(スポーツ紙記者)
2021年5月には、A氏が熊田にDV(ドメスティックバイオレンス)を働いたとして、暴行容疑で警視庁に逮捕される(21年12月、東京地裁で罰金20万円の有罪判決)という“事件”もあり、泥沼の離婚劇はさらに世間の耳目を集めることとなった。
長きにわたって繰り広げられた争いが遂に終局を迎えたわけだが、なぜこのタイミングでの「離婚発表」となったのか。
裁判記録の閲覧や取材を重ねてきた冒頭の記者は声をこう解説する。
性玩具『ウーマナイザー』でイメージダウンが深刻に
「熊田側は、『円満離婚』とアピールしていますが、内情はまったく違います。熊田とA氏との離婚訴訟は、『不貞はなかった』とする熊田側に不利な展開が続いていたのです。
1月の口頭弁論では、原告のA氏側が提出し、裁判所に証拠採用されていた熊田と不貞相手とされるB氏、それぞれの『DNA鑑定結果』の信用性について争われましたが、熊田側はA氏側の主張を覆すほどの反証ができなかった。
1月から口頭弁論が開かれなかったのも、熊田側がA氏側の主張を覆すほどの材料を揃えられなかったからである可能性が高い。和解に至ったのは、『傷が浅いうちに裁判を終わらせてしまおう』という熊田側の判断があったのではないでしょうか」
離婚裁判の行方もさることながら、公判が進むたびに触れられたくない私生活が詳らかにされることも、熊田にとっては深刻なダメージになっていたとみられる。
ウーマナイザーでイメージ暴落「裁判記録を黒塗りに…」
「DV騒動などもあり、当初は熊田側に同情の声も多かったのですが、裁判が進んでいくに連れて旗色は悪くなるいっぽうでした。
公判中に熊田が女性向けの性玩具『ウーマナイザー』を持ち歩いていたことなどが明らかにされるとイメージダウンはいよいよ深刻になっていった。公判の内容を外部に漏れさせないようにするためか、公判記録には、この種の離婚訴訟では異例の閲覧制限が掛けられ、記録の大部分が黒塗りになっていたこともありました」(同前)
ちなみに、裁判のもうひとりの当事者だった、熊田の「不倫相手」とされたテレビ局社員・B氏もまた、2022年12月までに、フリーアナウンサーの妻、平井理央(40)と離婚している。ある意味で、一連の騒動によって人生が大きく狂った1人でもあると言えよう。
妻への不信から起こした行動が、大騒動に発展した格好のA氏にとっても、失うものは少なくなかった。
夫、妻、どちらもが泥沼裁判でダメージ
「芸能人である熊田が、裁判が長期化することによるイメージ悪化でダメージを受けることは間違いありませんが、実業家のA氏にとってもそれは好ましいことではない。お子さんのことも考えると、訴訟に踏み切るのは、苦渋の決断だったのではないでしょうか」(同前)
和解にあたって、熊田、A氏、B氏の三者の間でそれぞれが出す条件への合意が交わされたとみられ、そこには「和解内容の漏洩禁止」も含まれていることが推察される。
熊田側は、「離婚成立」をマスコミに大々的にアピールしたことから、今後、芸能活動を本格化させていくものとみられる。一連の騒動で悪化したイメージの回復に努めるはずだが、芸能人として以前のような輝きを取り戻すことはできるだろうか。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))