原発専業の日本原子力発電(原電)が18日発表した2023年3月期決算は、最終的なもうけを示す純利益が前年比25・1%減の18億円だった。原発が1基も動かないなか、6年連続の黒字となった。燃料費の高騰で赤字だった大手電力も支払う「基本料金」が経営を支えている。 敦賀2号機(福井県)は再稼働に向けた審査中だが、原電の資料に多くの誤りが見つかり、原子力規制委員会が先月、審査を中断した。必要な書類を8月末までに出し直すよう行政指導し、山中伸介委員長は「これ以上、審査をしない状態を長引かせない」と発言。さらに西村康稔経済産業相も「ラストチャンス」と述べ、原電への「最後通告」となっている。 村松衛社長は、18日の記者会見で「誤りがあったことを重く受け止めている」としつつも「我々にとって敦賀2号機は極めて重要だ。再稼働をめざして進める」と述べた。提出期限に向けて、関西電力や北陸電力、三菱重工業から助言を得ているという。 23年3月期の売上高は前年比0・9%減の921億円、本業のもうけを示す営業利益が同58・9%減の24億円だった。原電がもつ敦賀2号機と東海第二(茨城県)の2基は11年から停止したまま10年以上発電していない。