日本海溝付近で断層50メートル滑る 東北大が震災報告会

 東日本大震災の発生から半年が経過したのに合わせ、東北大の研究者らによる報告会「復興に向けての大学の役割」が13日、仙台市青葉区の仙台トラストシティで開かれた。同大で進められている研究8テーマのほか、岩手大と福島大の取り組みも紹介された。
 東北大地震・噴火予知研究観測センターの日野亮太准教授(海底地震学)は、海底圧力計の観測データを基に宮城県沖の日本海溝近くの断層が50メートル以上滑ったとの分析結果を説明。滑った部分はプレート境界で固着した状態だったが、地震によって陸側プレートの一部が押し出されるように飛び出し、海水を押し上げて巨大津波を引き起こしたという。
 地震では海溝近くで3.5~5メートルの隆起が発生し、沿岸に近い場所で1メートル程度の沈降が生じた。隆起と沈降は3月9日の地震の際にもわずかに起きており、その後も断層がゆっくりと滑り続けていたとみられることも確認された。
 日野准教授は「海溝近くの地殻が大きく動いたことが、今回の巨大地震の鍵を握っているようだ。従来のゆっくりとした滑りを伴う地震と何が違うのか、比較して調べる価値はある」と述べた。
 岩手大は岩手県沿岸12市町村の小中学校188校を対象に実施した避難行動に関するアンケート結果の一部を報告。福島大は県内のダムの被害状況調査などについて説明した。報告会は東北大防災科学研究拠点の主催で約300人が参加した。

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