日本通運のノウハウ、ツタンカーメン引っ越しに (読売新聞)

【カイロ=田尾茂樹】エジプト政府がカイロ近郊ギザのピラミッド近くに計画する「大エジプト博物館」建設に備え、約10万点に上る文化財を一時的に保管・補修するため、新博物館の予定地隣に開館した「保存修復センター」への文化財の移送作業が本格化している。
 数多くの至宝を安全に運ぶため、日本の引っ越し技術が役立てられている。
 新博物館はカイロ中心部の考古学博物館が手狭となったため、エジプト政府が新観光拠点として、2012年頃の完成を目指している。考古学博物館にある古代王ツタンカーメンの黄金のマスクなど4万5000点に加え、国内各地の博物館から5万5000点が移送、展示される予定だ。
 本格的な移送を前にした7月、国際協力機構(JICA)の支援で、美術品輸送に定評のある日本通運の担当者を講師に、保存修復センターの職員約50人が対象の研修会が開かれた。
 職員らは約4000年前の物とみられる古代エジプトのつぼなどを実際に使い、綿を紙で巻いた緩衝材の作り方や、文化財の形状に合わせた包み方などを学び、日本の技に感嘆。参加したワリド・ムハンマドさん(22)は「もっと練習して技術を習得したい」と意気込んでいた。

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