日本=東京と思い込んでいる人がビジネスの場で取り残されるワケ

「日本らしい場所を教えてください」と問われて、浅草寺やアメ横など、「東京の名所」を思い浮かべた方、多いのではないでしょうか。しかし、無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんは「東京は、日本ではない」と断言した上で、これを理解できる人とできない人とではマーケティングなどビジネスシーンで圧倒的な差が出ると記しています。現実的な「地方再生」のヒントにもなりそうな、その理由とは?

東京は日本ではない

「東京は、日本ではない」。

これからのマーケティングは、この考え方が理解できる人と理解できない人とで圧倒的な差が生まれるのではないかと思います。東京は、日本の中でも特殊な存在であり、「東京こそ日本」としか考えられない人は、どんどん時代に取り残されると思います。

例えば、フランスを考えてみてください。最近ではもう「本場フランス」という言葉は、パリのことを指さないのはどんな世界でも常識になってきています。ファッションやフランス料理の世界などで、パリでの修行や経験は、「本場フランス」とは言いません。パリはパリです。

今は「本場フランス」という言葉は、南仏のプロヴァンス地方とか、西のノルマンディー地方とか、そういうローカルのイメージになりました。だから、パリに行っただけで「本場フランスに行ってきました」なんていう人は観光客レベルだと鼻で笑われてしまうし、フランスのイメージ画像にエッフェル塔とか凱旋門を使うのは完全にド素人に見えます。

イギリスもそうです。もう「本場イギリス」という言葉を使うなら、ロンドンのことは指さないのが普通です。ロンドンはロンドンです。今はイギリスという言葉を使うならばスコットランドやウェールズなどの地方こそイギリスらしいというイメージがあります。イギリスのイメージ画像としてビッグベンとかタワーブリッジなどを使うのは、完全にド素人向けの情報でしかありません。

スペインも、スペインという言葉を聞いて「マドリードですね」「バルセロナですね」というのは観光でしか行ったことがない人で、やっぱりスペインの特徴を生かした商品や企画ならアンダルシアとかアラゴンとかのイメージ。

ドイツなんかも、ベルリンやフランクフルトは特殊な経済都市という感覚で、やっぱりビールでもソーセージでも何でも、ドイツらしさは地方にあると言えます。

それらを考えると、東京という都市は日本の中でも特殊な地域です。日本らしさを探そうと思ったら、東京の中だけで考えると無理です。そして、逆に地方のほうが、「本当の日本らしさはここにありますよ」と言うことができます。

地方の人たちは東京や大阪を見て、「自分たちは日本の中でも遅れている」と感じてしまいがちです。だから、東京や大阪は日本ではなく、自分たちこそが日本らしさなのだ、ということを知らなければなりません。「本物の日本を教えてあげよう」という意識を、地方人こそ持たなければなりません。

そして、東京の人たちは、新商品や企画の中で「日本らしさ」ということが必要になってくるとしたら、積極的に地方へ足を運ぶ必要があります。東京にある情報だけを見ても、絶対に分かりません。

例えば、東京にある各県のアンテナショップに何度足を運んでも、それは東京用の店や商品であり、決して地方らしさを反映してはいません。地方をどれだけ訪れ地方をどれだけ見たかで、「日本を語れる」ようになるのです。

地方出身の私は今、東京に住んでいるのですが、個人的には東京よりも地方が好きなので、いずれは地方に住むと思います。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

  • 外国の国を5つ、ノートに列挙して、それぞれの国でイメージするものを4つずつ、併記していく。
  • それらの20個のものは、日本に置き換えてみると日本の何に当たるのか、考えてみる。
  • その中の東京以外のものを全部確認し、「東京以外の日本らしいもの」をまとめる。

image by: ESB Professional / Shutterstock, Inc.

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