日産とルノーは15%の株式相互保有-アライアンス連携強化で声明

(ブルームバーグ): 日産自動車は30日、仏ルノーグループとの企業連合(アライアンス)に関する声明で、ロックアップとスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有すると発表した。

日産の発表資料では、同保有株に付随する議決権を15%まで自由に行使可能としている。ルノーは日産の株式28.4%をフランスの信託会社に預ける。ほとんどの議案に関する議決権は 「中立化」 されるが、株式が売却されるまでの間、ルノーが保有する経済的な権利(配当金と売却代金)は維持するという。

ルノーは、同社にとって商慣習上合理的な場合、協調的で秩序あるプロセスで信託会社に信託した日産株の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わないともした。

最終合意に向けた協議は引き続き行われており、実施に関してはルノーと日産の取締役会の決議を経る必要があるとしているものの、昨年以降続けてきた「本協議が重要なマイルストーンを迎えた」としており、日産にとって長年の悲願だった対等な資本関係の実現に大きく近づくことになる。

日産はまた、ルノーが設立するEV新会社への出資のほか、南米やインド、欧州でのプロジェクトの推進にも取り組む。

EVや自動運転など新技術の登場で世界の自動車産業が急速に変容し、新興勢力も含め競争が激化する中、両社は今回の合意を機に再出発する。従来通り開発や部品の調達などでスケールメリットを生かしていく考えだが、力関係が均衡することで今後は意思決定が遅くなるなどの弊害が生じる可能性もある。

両社による企業連合(アライアンス)は1999年、経営危機に陥っていた日産に対してルノーが6000億円超を出資し、救済したことで始まった。その後日産もルノー株を保有したが、ルノーが日産株約43%を持つのに対し、日産によるルノー株の保有比率は15%にとどまり、フランスの法律によって議決権がないなど資本面でルノー優位の状況が続いてきた。

日産はアライアンスのトップを長く務めたカルロス・ゴーン前会長(会社法違反の罪などで起訴)が18年に逮捕されたことをきっかけに、ルノーとの関係を対等なものにするための取り組みを進めてきた。19年にはルノーが日産との経営統合を持ちかけたものの、日産側が強く反発し、実現しなかった。

その後新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な車の電動化進展などから両社の間で関係強化の機運が高まり、22年からルノーのEV新会社への出資など複数の案件をまとめた形での交渉を進めてきた。

EVの知的財産(IP)の扱いなどについて日産とルノーの間には意見の隔たりがあり、当初想定していた昨年11月までに合意に達することができず、協議を継続した経緯がある。

今年に入りフランスのマクロン大統領と日本の岸田文雄首相の首脳会談後、仏政府から日産・ルノーの資本関係見直しを支持する内容の書簡が日本政府に届いたことで交渉が一気に進展。日産の社外取締役らは16日に開かれた会議で、ルノーとの交渉を受け入れることで合意していた。

(c)2023 Bloomberg L.P.

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