日米同盟は「より対等」から「より統合」へ 米有識者ら提言

米国のアーミテージ元国務副長官(共和党)とナイ・ハーバード大特別功労教授(民主党)ら超党派の有識者による研究グループが4日、日米同盟に関する新たな報告書を公表した。日本の近年の防衛力強化や経済安全保障分野での取り組みを踏まえ、日米同盟を安全保障面や経済面で「より統合された同盟」に移行するよう提言した。

 研究グループは、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の下に作られ、アーミテージ氏とナイ氏が共同議長を務める。報告書のタイトルは「2024年の日米同盟 統合された同盟に向けて」。2人は00年以降、日米同盟を強化するための政策提言を数年ごとに公表してきた。「アーミテージ・ナイ報告書」として知られ、今回は第6弾になる。

 報告書は、11月の米大統領選について、世界における米国の役割や同盟国との関係を巡って「ビジョンが根本的に異なる」候補者によって戦われているとし、「どの候補が勝っても米国の孤立主義と信頼性への懸念は続く」と指摘。法の支配の下で、自由で開かれた国際秩序を支える日本の役割はこれまで以上に重要だと強調した。

 日米同盟については、20年の前回報告書で「より対等な同盟」を提言した。今回は「次の一歩」として、軍事作戦の計画・実行から、産業政策の調整や安全なサプライチェーン(供給網)の強化を含む経済安保まで「より統合された同盟」に移行するよう促した。

 提言の柱は、安保同盟を発展させる▽パートナーシップと連合を拡大する▽経済及び技術協力を強化する――の3本。具体的には、自衛隊と米軍の指揮・統制系統の再構築や、情報分野における協力の深化などが必要だと指摘した。日米同盟は「世界的な影響力」を持つべきだとし、韓国や豪州、フィリピンとの協力強化や台湾への支援を挙げた。中東での協力では、紅海を航行する商船の保護を挙げ、商業シーレーン(海上交通路)の防衛で日本が目に見える役割を果たすべきだと訴えた。

 また、日米間の留学生の減少が「長期的には日米関係の基盤を損なう危険性がある」とし、将来について懸念していると警告した。【ワシントン西田進一郎】

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