12月4日に全線開業する東北新幹線の新ダイヤが7日、発表された。仙台―新青森間は約40分間短縮され、所要時間は最短で1時間41分。青森県の観光業界の一部には宿泊客の減少を心配する声もあったが、利用者は利便性の向上を歓迎し、沿線自治体では一気に地域経済への波及効果に期待が高まった。
青森県の三村申吾知事と青森市の鹿内博市長はそれぞれ、「東北新幹線全線開業という千載一遇のチャンスを地域経済の活性化に生かすため、関係団体と連携し、県民一丸となって取り組みたい」「多くの観光客を青森へ迎えられるよう、これまで以上に開業をPRし、まちの魅力をつくっていきたい」と意気込みを語った。
17往復すべての運行列車が停車する小林真八戸市長は「八戸駅の全便停車は大変喜ばしい」と評価。「来年3月に営業開始する新型車両『はやぶさ』も八戸駅に全便停車となるよう、引き続き要望していきたい」とのコメントを出した。
七戸町の小又勉町長は七戸十和田駅の停車が12往復となったことについて「あと1、2往復は止まってほしかった」と残念がりながらも、「開業が近づいているのが実感できた。たくさんの観光客を呼び込みたい」と語った。
青森商工会議所連合会の林光男会長は「ダイヤ発表で二次交通の整備に弾みがつく。県などと連携して取り組みたい」との談話を出した。
一方、青森―仙台間の時間短縮に伴い、青森県内のホテル・旅館業界の中には宿泊客減少を心配する声も。青森市のホテルの総支配人(58)は「観光客は伸びるが、ビジネスマンの日帰り出張が増えると困る。痛しかゆしだ」と打ち明けた。
◎仙台の利用者「身近に」/日帰り出張、増えるかも…
青森市に単身赴任している会社員男性(39)=仙台市青葉区=は「週末に青森と仙台を往復するが、ぐんと近くなる。最終が午後8時以降になるのもありがたい」と開業が待ち遠しい。
新旧ダイヤ表を比べると、八戸以北で短縮が進む。青森銀行仙台支店の佐々木知彦支店長は「青森からすると、山形や福島は遠い印象だった。全線開業で東北内の観光交流が増えるだろう」と予測する。宮城県色麻町の会社員女性(31)も「仙台から青森の所要時間は東京とほぼ同じになる。乗り換えもなくなり、青森が身近な観光地になると思う」と話す。
東北観光推進機構の三浦丈志副本部長は「東京―新青森が3時間20分なら、東京―岡山より近い。青森と東京も日帰り圏内になった印象だ」とダイヤを見る。
一方、「これまで青森への出張は1泊できたが、今後は日帰りが多くなるかも」と心配するのは仙台市太白区の会社員男性(47)。きつくなりそうな出張日程が今から気になる様子だ。
また、仙台市青葉区の会社員男性(40)は「開業は青森市内の実家に帰るのに好都合だが、新青森駅からどう帰ればいいんだろう」。青森駅から約4キロ離れる新青森駅のアクセスが気がかりだ。