仙台市は3月に策定する第2期空家等対策計画(2022~26年度)の中間案を公表し、今月17日までパブリックコメント(意見公募)を実施している。建物内に残された財産の整理に苦慮し、相続が円滑に進まず空き家となるケースを防ぐため、所有者による生前の「住まいの終活」の啓発に初めて乗り出す。
管理不全275戸
国が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査によると、市内の空き家数と空き家率の推移はグラフの通り。
最新の2018年は6万3800戸で、うち賃貸用や販売用、別荘などの二次的住宅を除く「その他の住宅」が1万6000戸だった。住宅総数に占める空き家率は東日本大震災の影響で13年に減少したものの、18年は再び増加に転じた。
適切に管理されていない「管理不全な空き家」は21年3月末時点で275戸が現存する。管理不全な空き家は青葉区台原、太白区向山、若林区若林、泉区将監や山の寺などの地域に比較的多く分布するという。
リーフレット作成
中間案は(1)住宅の適切な管理を促し、管理不全な空き家化を防ぐ(2)空き家の利活用を促進する(3)管理不全な空き家を解消する-ことを基本目標に掲げる。
遺言、相続、不動産売買などの基本知識や空き家の適切な管理、相談窓口などをまとめたリーフレットを作成し、今後、空き家が増加する可能性が高い地域を中心に情報提供を進める。
生前からの身の回り品の整理や遺言による財産の継承先の明示など、相続発生時の手続きを円滑にする準備「終活」を住宅の所有者に啓発。空き家になる以前の段階の対策を強化する。
「DIY型賃貸借」
空き家の利活用は、借り主の意向を反映した改修ができる「DIY型賃貸借」などの制度紹介に力を入れるほか、さまざまな理由で不動産市場への誘導が困難な物件も、専門団体と利活用方法の検討に乗り出す。
中間案に数値目標はないが、最終案には空き家の改善件数や啓発の実施件数などの目標値を盛り込む。
中間案に対する意見は市市民生活課へ郵送、ファクス、メールで送付する。