旭日旗騒動に新展開 ジャスティン・ビーバーへ謝罪要求した教授の反日ビジネスの実態

旭日旗=ハーケンクロイツとして批判

 先月、米国の人気歌手であるジャスティン・ビーバーがテレビ朝日の「ミュージックステーション」に出演し新曲を披露。その際に着用していたジャケットが“旭日旗”を連想させると韓国ファンの間で物議を醸し、放送から約1ヶ月が経過した今でもその騒動は収まっていない。そんな中、ジャスティン・ビーバーに謝罪要求する韓国人教授が現れた。反日教授として著名な人物だ。

【写真】ジャスティン・ビーバーへの講義内容

 韓国・誠信(ソンシン)女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授はかねて旭日旗使用を問題視し、反日活動を行ってきた。「旭日旗=ナチスドイツのハーケンクロイツ」議論に火をつけた教授と言えばご存知の方もいるだろうか。

新たに噛みつかれたジャスティン・ビーバー(@justinbieber)

 今回のジャスティン・ビーバーのジャケットも彼の目には旭日旗に映ったようで、4月29日のSNSに「“旭日旗=戦犯旗”という内容の抗議メールを送りました」と、ジャスティン・ビーバーに抗議したことを明らかにしている。

 荒唐無稽な旭日旗批判は浮かんでは消え、消えては浮かんできた。バーガーキングのズワイガニバーガーの包み紙や鬼滅の刃に登場する主人公の耳飾りは記憶に新しいところだろう。

 鬼滅の刃の耳飾りは“太陽の神様”に祈りを込めたお守りだと作品内で紹介されているし、ズワイガニバーガーはただのカニなのだが、旭日旗批判をする彼らの目には、放射線状に伸びているデザインはほとんどが旭日旗に見えるようだ。

機内食容器も「旭日旗」視するラディカルさ

 徐坰徳教授はもっと先鋭的かつラディカルで、以前に日本航空の金浦(キンポ)~羽田路線で提供される無色透明の機内食容器が旭日旗をデザインしていると抗議したことがある。

 加えて相手を選ぶ狡猾さもあるようで、英国歌手エド・シーランのSNS広報映像に対してデザインが旭日旗に類似していると食ってかかる一方で、自国のスターPSY(サイ)の場合には何のツッコミも入れることはなかった。

 教授はかねて、韓国や韓国人の認知度を高めたいという思いが強かったという。学生時代にヨーロッパをバックパッカーとして旅行した際に、現地人から日本人や中国人にしばしば間違われたことから、韓国の広報活動を始めたことを公表している。

 2005年、ニューヨークタイムズに竹島(韓国名:独島)に関する広告を掲載してからというもの、韓国の広報活動というよりはむしろ反日の闘士としての立場を揺るぎないようにした印象だ。

 その後は竹島や旭日旗のみならず、慰安婦問題をはじめとする日韓関係はもちろん、昨年末より問題となっている中国とのキムチ問題や、参鶏湯問題などにも抗議及び情報発信を行っており、活動の場を広げてきた。

 活動の場が広がったせいか、教授は手痛いミスを繰り返してきた。発信する情報について、後にフェイクだと認めているものもある。

 例えば、「朝鮮人鉱員が軍艦島に強制徴用された」と主張する写真を掲載した件に触れておくと、この写真は1955年代に福岡県の筑豊炭田を撮影したもので、戦時中の朝鮮人労働者とは全く無関係。撮られているのは日本人だ。

論文はコピペか捏造か

 実はこの写真は、2017年7月3日から1週間、ニューヨーク・タイムズスクエアの屋外電光掲示板に「軍艦島(正式名・端島)の真実」という広報映像に使用された。

 これを受け、日本のメディアなどが写真はフェイクだと指摘。教授も自身の誤りを認めざるを得ず「徹底した検証ができず、不本意なミスを犯した。写真の人物が日本人であることを私も今回初めて知った」と釈明した。

 この写真が2017年以前から問題視されてきたのは割と知られた事実だ。“初めて知った”ことの説明も必要だったのではないか。

 ここでは詳述しないが、「独島のアシカは日本によって殺された」と主張する投稿も行っている。2013年から「独島学校」の校長に就き、その立場あってのアピールでもあるのだろう。

 彼のウソにまつわる逸話は他にもある。

 少し遡るが、2012年に「留学生50人と共に日本の主要大学40校に従軍慰安婦問題に対する謝罪を求めるポスターを1万枚掲示した」と韓国のマスコミに報告したのだが、該当ポスターが掲示された事実はなかったという。

 2016年には、04年に書いた修士論文の64%が他人の論文や文献などを盗作、あるいはコピー&ペースト、捏造したものであったことが報じられた。

 カネについてのトラブルもあり、2012年、ニューヨークのタイムズスクエアに慰安婦謝罪要求広告を掲示した際に、報酬を支払わなかったために現地広告代理店から訴訟を起こされている。

スパイ機関から活動資金を

 そして2017年には、韓国国家情報院(KCIA)から資金を受け取っていたことが韓国国内で報じられた。

 彼は当初「報道は虚偽で、KCIAの領収書に署名したことも、工作に関与したこともない。本当なら全ての活動停止と教授職を辞任する」と強く否定した。

 しかし、この問題を報道した韓国メディアのJTBCが、KCIAの部隊長から教授が資金を受け取った際の本人署名入り領収書を保管していると報じると、前言を撤回しKCIAから支援・資金を受けていた事実を認めた。

 教授とはいえ、過去の醜聞に鑑みると普通ならまともに取り合ってもらえないはずの活動も反日絡みについては一部の韓国人は信じ、そして応援している。

 教授は反日活動を通じて自身の立場を確立させ、それはビジネスとみなし得るレベルとなっているから、今回のジャスティン・ビーバーへの異議申し立ては半ば予想されたことだった。

 当のジャスティン・ビーバーは2014年の訪日時に靖国神社を参拝し、韓国と中国から抗議のメッセージが多数寄せられ謝罪に追い込まれたことがある。

 中国からの抗議が特に激しかったために抗しきれなかったようだが、今回のジャケット騒動は韓国からのみで、教授の企みは不発に終わりそうな気配もある。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月7日 掲載

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