明治期建造物・松亀園の保存活用OK 耐震診断を実施 塩釜

宮城県塩釜市のNPO法人「みなとしほがま」(菅原周二理事長)は4日、明治初期の建造物「松亀園」(旧えびや旅館、同市本町)の耐震診断を実施した。東北では初となる伝統工法対応の最新診断法を導入。測定の結果、地震による一定方向の揺れには弱いものの、補強すれば保存活用に十分に耐えられることが分かった。同NPOでは診断結果に対応しながら、保存活用を進める。
 診断は元早稲田大理工学部教授毎熊輝記さん(74)考案の「早稲田式動的耐震性能診断」によって実施。2002年から九州や近畿などで約100例の古民家を診断した実績があるが、東北では初めてだという。木造3階の松亀園の各階に地震計を設置し、振動の固有周期、共振性、増幅度を計測して建物全体の耐震性を評価した。
 総合的な診断結果が出るまで約1週間かかるが、この日の調査では南北方向の揺れに弱いものの、東西方向の揺れや建物のねじれなどのチェックポイントには問題はなかった。
 松亀園は昭和期に1階の柱を一部取り除くなどの改装をしていることから、測定した毎熊さんは「古民家の工法は一般的な工法の約5倍は揺れに強いものの、柱を入れるなどの補強が必要」と指摘する。
 同NPOはことし春、解体の危機にあった松亀園を所有者から買い取った。耐震診断は修繕計画の指針として導入を決めたが、古いから壊れやすいというイメージのある古民家に対する認識を変えたいという狙いもあったという。今後、診断結果に沿った修繕を加え、12月にも建物の一部を街なか博物館として仮オープンする予定。菅原理事長(70)は「街歩きする人の憩いの場所にしたい」と話す。

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