昨年比2倍以上! 地デジパソコンが売れるワケ

 地デジ完全移行を来年7月に控え、薄型テレビと同様、テレビパソコンの販売が好調だ。調査会社BCNによれば、2010年5月から11月までの地デジパソコンの販売台数は、前年の同じ期間の2倍以上に増加しているという。
 要因は、1台でパソコン、テレビ、ブルーレイ、レコーダーと何役もこなせて経済的で場所を取らないこと。特に自室用の小型テレビの代役をパソコンで済ませる人も増えているようだ。最近はデスクトップパソコンの大半が、地デジチューナーを搭載するようになってきている。
 地デジテレビの代替機としての地デジパソコンをアピールしようと、ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)では、「パソコンも地デジカ」キャンペーンを今年4月から実施してきた。このキャンペーンは、2011年7月24日の地上波アナログ放送終了とデジタル放送への完全移行に備え、地デジ対応テレビ導入の選択肢の1つとして、地デジチューナー搭載パソコンやパソコン用地デジチューナーを売り込み、パソコンならではの地デジ放送の楽しみ方を提案しようというものだ。
 12月10日には新宿駅前でトークショーなどのイベントを開催して、キャンペーンの進捗状況を説明した。これによると、2010年5月~11月の地デジパソコンの販売台数は、前年同期間比で225.9%となった。同期間でのパソコン全体の販売台数は、前年同期比で105.6%なので、地デジパソコンの販売台数が大幅に伸びていることが分かる。月別の比較を見ても、すべての月で大きな伸びを見せている。一般のテレビにはエコポイントがつくが、テレビパソコンにはつかない。そうした不利な条件にもかかわらず、大きな伸びを示しているのは注目に値するだろう。
ビックカメラ有楽町店本館テレビパソコンは高性能・高機能が人気
 こうした好調な販売状況を家電量販店ではどう見ているのか。
 ビックカメラの有楽町店本館では「地デジパソコンは、1台でテレビ、パソコン、ブルーレイの機能を兼ねるのが人気の要因」と見る。自室に置くテレビとして購入する人もいるが、一人暮らしの人も多い。来春の新生活シーズンではさらに伸びると期待している。
 売れているのは、20~23型クラスのデスクトップ。同じ価格のノートパソコンと比べて、画面が大きくて高性能なCPUや容量の多いHDD、BDドライブなどを搭載することから選ぶ人が多い。地デジパソコンを買い求める人は、地デジ導入のための予備知識があり、アンテナ設置などについて詳しく説明するケースはあまりないという。
ヨドバシカメラマルチメディアAkibaテレビパソコンはダブルチューナーがポイント
 ヨドバシカメラマルチメディアAkibaの売れ筋は「デスクトップタイプで、画面が大きなディスプレイ一体型モデル」だ。ディスプレイ一体型は、電源ケーブルとテレビアンテナケーブルだけをつなげればいいため、配線が楽なのが人気と言う。
 テレビパソコンの中でもデジタル3波(地上/BS/110度CS)対応でダブルチューナー搭載の高機能なモデルの人気が高い。裏番組録画、2番組同時録画が可能な機種を求める人が多く、ダブルチューナーが選択のポイントになるようだ。
 デスクトップを買い求める層は、主にゲームをするために高性能なパソコンが欲しいという人と、テレビパソコンが欲しい人の2タイプ。CPUの処理性能のほかにグラフィックス機能(グラフィックスチップ)に注目して選ぶ人も多いという。
 ヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは、Mac版の「Office 2011」も評価が高く人気だという。使いやすさ、Windows版との互換性、VBAのサポートなどが評価されている。これまでアップルの「iWork」を使っていた企業ユーザーがまとめて乗り換えるケースもあるという。従来のマイクロソフトオフィス製品との高い互換性が決め手で、約8割のユーザーが最終的にOffice 2011を選ぶという。
(文/湯浅 英夫)

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