昭和初期に豪沖に沈没した日本船、歴史遺産として保存へ オーストラリア

【7月29日 AFP=時事】オーストラリア政府は28日、70年以上前にオーストラリア北部沖で沈没した日本船を、歴史遺産として海底で保存することを決定したと発表した。
 この日本船「サンヨウマル(Sanyo Maru)」は、昭和初期に真珠漁の母船として活躍。真珠採取船に食料や飲料水、燃料などを供給していたが、1937年に季節外れの暴風雨に巻き込まれて沈没した。当時、同船は採取した大量の真珠と乗組員20人を乗せていたが、助かったのは真珠を取る潜水夫1人とパーサーの2人だけだった。
 現在、サンヨウマルは豪北部セントラル・アーネムランド(Central Arnhem Land)沖60キロの水深27メートルの海底に沈んでおり、船体は安定した状態という。
 マーク・バトラー(Mark Butler)環境・国家遺産・水担当相はサンヨウマルについて、「オーストラリアの歴史の重要な一部として、この貴重な難破船を確実に保存しなければならない」と述べ、船の周囲200ヘクタールを保護海域に指定すると発表。「オーストラリアの真珠貿易をめぐっては、歴史的にも現代においても情報が欠けており、サンヨウマルを保存する必要性は非常に高い。船内に残る遺物は、オーストラリアと日本が共有する海洋史の重要な遺産だ」と説明した。
 バトラー国家遺産相はまた、サンヨウマルの状態は非常に良いとして、「船内の遺物の数々は他に類を見ず、1930年代の真珠貿易の実態や技術、さらには同船で航海を続けながら真珠を採取していた乗組員たちの日常について、これまでにない深い見識を提供してくれるだろう」と保存の意義を語った。(c)AFP=時事/AFPBB News

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