時代を変える? 「クラウドゲーム」の「オンライブ」が注目、米ゲーム見本市

 米ロサンゼルスで15~17日まで開かれた世界最大規模の家庭用ゲーム見本市「E3」で、任天堂の「Wii(ウィー)」など大手メーカーのゲーム機が注目される中、ベンチャー企業の新たな“ゲーム機”が耳目を集めた。
 これは、米カリフォルニア州に本社を置くベンチャー企業が手掛ける「オンライブ」というサービス。ネットワーク経由でソフトウエアなどのサービスを利用する「クラウドコンピューティング」の手法を活用し、高価なゲーム機を使用せずにパソコンやテレビで高品質のゲームを楽しむことができるのが売りだ。新たな“クラウドゲーム”がゲーム機の世界を変えるのか、ゲーム業界の注目も高まっている。
 オンライブは、利用者のパソコンやテレビにインターネットでゲームを配信するサービス。パソコンなどに小型の専用受信機を取り付けるだけで、ダウンロードと再生を同時に行うストリーミングの手法でゲームを遊ぶことができる。利用者は、オンライブに対して登録料を支払う程度で、高額の専用ゲーム機などを買う必要がなく、新たなゲームの形になるとの見方が強い。
 E3会場に置かれた試遊機を体験してみたが、動きはとてもスムーズで途切れるようなこともなかった。オンライブの担当者は「機能面で従来のゲーム機に遜色はなく、利便性ではすべての面で勝る」と自信を見せた。
 ソフト会社の注目も高い。米ソフト大手のEAのほか、日本でもカプコンやセガなど大手どころがソフト供給会社として名を連ねている。欧米を中心に人気の「アサシンクリード」などの有力タイトルの投入が表明されており、セガの鶴見尚也常務は「ソフト会社としても注意しておかなければならない存在だ」と前向きな取り組みを表明した。
 オンライブは、17日夕(日本時間18日午前)にパソコン向けにサービスを開始し、テレビ向けについても近々の開始を計画している。既に22ソフトを取りそろえ、今後もラインアップを強化していく。日本での展開については「現時点では不明」(担当者)というが、米国初のクラウドゲームの余波が日本に届くこともそう遠くなさそうだ。

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