日銀は4~5日に開いた金融政策決定会合で、マネタリーベース(資金供給量)を年間60兆~70兆円に相当するペースで増やす方針を維持することを全員一致で決めた。国内の景気判断については「緩やかに回復している」として、前月までの「緩やかに回復しつつある」から上方修正した。
景気判断の個別項目をみていくと、設備投資は「企業収益が改善するなかで、持ち直しつつある」として、前月までの判断を前進させた。個人消費については「引き続き底堅く推移している」で維持する一方、「雇用・所得環境に改善の動きがみられる」との文言を加えて前向きな循環メカニズムが働き始めていることを強調した。
輸出に関しては「持ち直している」から「持ち直し傾向にある」との表現に変更。生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年比は「ゼロ%台後半となっている」と明記した。
景気の先行きに関しては「緩やかな回復を続けていくとみられる」と説明した。物価については「消費者物価の前年比は、次第にプラス幅を拡大していくとみられる」との表現を維持し、先行きへの自信を示した。
景気のリスク要因としては、欧州債務問題や新興国・資源国の動向、米国経済の回復ペースなどを挙げたうえで「不確実性は引き続き大きい」との見方を示した。
当面の金融政策運営に関しては、2%の物価安定目標の実現に向けて「安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する」と説明。経済や物価の情勢を「上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」と明記し、従来の姿勢を改めて示した。
会合では、木内登英審議委員が量的・質的金融緩和を「2年程度の集中対応措置と位置付ける」との議案を提出したが、賛成1反対8で否決した。木内委員の提案は6カ月連続。
黒田東彦総裁は15時30分から記者会見し、決定内容や景気動向に関して説明する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕