政府は23日に公表した4月の月例経済報告で、景気判断を引き下げ、「新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」との見方を示した。「悪化」の文言を使うのはリーマン・ショック後の2009年5月以来、約11年ぶり。感染拡大と緊急事態宣言が続くなか、景気はいっそう落ち込んでおり、2カ月連続で大幅な判断引き下げを余儀なくされた。
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月例経済報告は景気に対する政府の公式見解で、経済運営の土台となる。2カ月連続の下方修正は14年10月以来。3月分では、それまでの「回復」との文言を6年9カ月ぶりに削除し、「足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」としたが、今回は経済指標の下落が続く現状を踏まえ、落ち込みの表現を「悪化」に強めた。状況認識についても、アジア通貨危機後の1999年6月以来、約21年ぶりに、「極めて厳しい」とした。
個別項目では、14のうち六つで判断を下方修正。GDP(国内総生産)の半分以上を占め、外出自粛や営業休止などの影響を直接受ける個人消費は「急速に減少している」とし、「このところ弱い動きになっている」とした3月に続き2カ月連続で下げた。輸出は「このところ減少している」と1年3カ月ぶり、生産についても「減少している」と4カ月ぶりに、それぞれ下方修正した。国内外で自動車の販売が振るわず、生産調整の影響が幅広い産業に及んでいることを反映した。