暑い季節は要注意!「脳梗塞」を防ぐ10か条

「今年は、北海道で観測史上初めて5月に35度以上の猛暑日を記録したように、日本列島が季節外れの暑さに見舞われました。これから夏にかけて、しっかりと暑さ対策を行う必要がありますね」(気象庁関係者)

 熱中症はもちろんのこと、医療関係者の間で、この時期、最も危惧されているのが“脳梗塞”だという。

「気温が上昇する6〜8月は、脳梗塞になりやすいんです。汗をかくと血液中の水分が減って、血液がドロドロ状態になり、血管が詰まりやすくなりますから」

 こう説明するのは、『くどうちあき脳神経外科クリニック』の院長で医学博士の工藤千秋氏だ。

「脳梗塞の主な原因は、動脈硬化により脳内の血管が詰まること。高齢者のだいたいの方はコレステロールや血糖値が高く、動脈硬化が進行しているのですが、電気代がもったいないなどの理由で、エアコンを使わない人も多いんです」(工藤氏=以下同)

 血管の状態がただでさえ良くないのに、暑さで脱水状態になり、血流が悪くなってしまうのだ。

「若い方も油断できません。暑い中、屋外で活動していて、水滴になるほど汗をかいていなくても、実際は“不感蒸泄”といって、皮膚から汗が蒸発して、1日でおよそ1.5リットルのペットボトル1本の半分くらいの水分が失われています」

 それが積み重なっていくと、血管がダメージを受けて最悪の結果を招くという。

 年齢に限らず、アルコールやコーヒーを普段からよく飲む人も注意が必要だ。

「これらは利尿作用のある飲み物なので、オシッコの回数が増えます。水分を補給してもすぐ排出するので、暑い夏場なんかは自分でも気づかないうちに、脱水症状になっているんです」

 猛暑により脳梗塞が起きるリスクが高まることは分かったが、では、その対策はあるのか?

■脳梗塞の対策はこれだ

 まず、知っておくべきは脳梗塞になる前兆の「FASTの法則」だ。下の表を見てほしい。

 工藤院長によれば、顔(FACE)、腕(ARM)、会話(SPEECH)のどれかに、これらの症状が突然、現れると危険信号だという。

「1〜2時間でこれらの症状が治まっても安心せず、救急車を呼んでもいいので、すぐ病院に行ってください。1週間から1か月後に大きな脳梗塞(大発作)を起こす前ぶれの可能性が高いんです」

 最後は時間(TIME)が重要になってくるという。

「大発作が起きてから4.5時間以内に血が詰まっている部分を手術すれば、大きな後遺症が残らないといわれています」

 それを過ぎてしまうと、およそ47%の人が要介護となり、17〜18%は亡くなってしまうという。これに加え、危険な兆候は、「心臓が変な動き(心房細動)をしたときです。普段はドックン、ドックンと動いている心臓がドキドキドキとなったら、危ない。血の塊(血栓)が心臓の中にできて、この血の塊が動脈の中を移動して、脳の血管を詰まらせてしまいます」

 心臓がおかしいなと感じたら、すぐに病院に行ってもらいたい。

 また、後遺症は、どこの部分が脳梗塞を起こしたかによって違うという。

「左のこめかみのあたりだと言葉がしゃべれなくなり、右の手足の動きが悪くなります。後頭部だと、物が見えづらくなります」

 脳梗塞の起こった場所が広ければ広いほど、後遺症の重症度が増すという。恐るべき後遺症がある脳梗塞から身を守るための10か条を、工藤院長に教えてもらった。

 現在発売中の『週刊大衆』6月24日号では、動脈硬化を進行させないための対策も掲載している。暑くなる時期にこそ、脳梗塞対策は万全を期したい。

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