暑さ忘れる爽快感!炭酸飲料販売好調

 炭酸飲料の販売が好調だ。節電意識が高まる中で気温が上がり、炭酸の爽快感を求める消費者が増えたことなどで、6、7月は前年同月を1割前後上回って推移している。炭酸飲料市場はカロリーの低い無糖飲料やハイボールの割り材として炭酸水の販売増も後押しし、2010年まで4年連続で伸びているが、今夏はさらに拍車がかかった形。緑茶やスポーツ飲料など「定番」を炭酸化した商品の投入も増えており、市場は活気づいている。
 キリンビバレッジの推計によると、6月の炭酸飲料販売量は前年同月比で11%増、7月も8%増と好調だった。同社の販売量も、6月は無糖の「大人のキリンレモン」を刷新して発売したことも寄与し、20%増となった。昨年も猛暑だったことで伸びたが、今年は節電意識の高まりによって市場拡大トレンドが加速しているとみられる。
 全国清涼飲料工業会の調べによると、炭酸飲料生産量は1995年から10年以上、下降気味だった。健康志向が高まる中で、糖分の多いイメージが敬遠されたとみられる。しかし、2006年から順次、サントリーの「ペプシネックス」、日本コカ・コーラの「コカ・コーラゼロ」、アサヒ飲料の「三ツ矢サイダー オールゼロ」など各社が主力商品で糖分やカロリーを抑えたタイプを発売。これらがきっかけとなり、07年から市場は増加に転じた。
 加えて、09年ごろからはウイスキーを炭酸水で割って飲むハイボールが人気に。ブーム火付け役のサントリーは昨年3月末、ハイボールの割り材として瓶で販売してきた炭酸水「サントリーソーダ」の500ミリリットル入りペットボトルを発売。今年6~7月の販売は前年同月比15%増と好調を維持している。
 市場の活況を受け、7月下旬にはキリンの緑茶「生茶 ザ・スパークリング」、今月30日にはアサヒの果汁飲料「バヤリース オレンジスパークリング」など各社の定番を炭酸化した商品も次々と登場している。
 炭酸飲料の拡大とは対照的に、緑茶やコーヒー系飲料市場は07年以降、下降気味だ。08年9月のリーマン・ショックでの景気低迷により、「家でつくれる緑茶やコーヒーに対し、炭酸飲料の価値が見直されたのでは」(メーカー関係者)という指摘もある。(高橋寛次)

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