暗黒物質の証拠発見か 国際チームが宇宙で観測

宇宙に存在するとされながら見つかっていない「暗黒物質」の証拠を、米欧などの国際チームが発見した可能性があることが8日、分かった。国際宇宙ステーション(ISS)で観測したもので、9日に発表する。発見が確定すればノーベル賞級の成果となる。

暗黒物質は宇宙最大の謎とされ、その証拠や正体を探る研究が世界中で行われている。

観測したのは米航空宇宙局(NASA)や欧州合同原子核研究所(CERN)などが参加するチーム。

チームは2011年、ISSに「アルファ磁気分光器」(AMS)という検出器を設置し、宇宙を飛び交う粒子を観測。身の回りにある普通の物質とは電気的な性質などが反対で、自然界では見つかっていない「反物質」を探した。その結果、ヘリウムの反物質である「反ヘリウム」を5年間で数回、検出した。

暗黒物質同士が衝突して崩壊すると、反陽子と反中性子が生じる。検出した反ヘリウムは反陽子2つと反中性子1つが結合してできたもので、暗黒物質が存在することの証拠になる。

ただ、観測データが少ない上、検出器が別の信号を捉えた可能性もあり、まだ発見したといえるレベルではないという。

チームの灰野(はいの)禎一(さだかず)・台湾中央研究院副研究員は「観測されたものが本当に反ヘリウムなら素粒子や宇宙論に与える影響は大変大きいが、さらにデータをためないと確定的なことはいえない」としている。

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