スピリチュアルを生業とする占星術師やヒーラーの、客を囲い込む手法が昨今、巧妙になっている。
たとえば「アメブロ起業」といわれる主婦起業の占い師やヒーラーたち。アメブロを開始し、会員制のメルマガやサロンまで顧客を繋ぎとめる。情報商材によく使われるステップメール機能を使い、毎日もしくは毎週顧客を煽るメールを送る手法だ。
システムを知らない星占い好きの人は、それを単に星の動きを教えてくれるメールとしか思わず、しつこい勧誘にあっていることに気づいていない。
しかし、やがてメールで勧誘され、固定客になり、サロンに入り、やがてその占い師やヒーラーと各地に聖地巡礼として高額な旅行に連れて行かれるようになるのだ。サロンといえば聞こえがいいが、中身は有名占星術師やヒーラーを中心とする宗教団体的なファンサークルである。
そもそもステップメールは情報商材の集客専用に開発されたシステムなので、慣れない女性客はすぐに取り込まれてしまう。
特に悪質と思われるのは、西洋占星術を学んだばかりで占い師を名乗る“にわか占い師”たちある。主婦ら大多数の彼女たちがなぜ占いに手を出すかといえば、手軽に儲かるからだ。
専業主婦が仕事に戻るといっても、主婦向けの仕事は少なく、年齢が高くなれば時給の安いパートや派遣しか残っていない。そこで、占い師になる人が少なくないのだ。いったん客を捕まえてしまえば、たった4～5年ほどのキャリアで1時間3万円以上という高額な鑑定料を取る。
一般的に、プロフェッショナルな占い師であればキャリアが10年あろうとも1時間6000～10000円程度が良心的な相場である。
◆社会経験の少ない主婦たちを顧客にする怪しい起業コンサルも
なぜここまで主婦占い師だと料金が膨れ上がるのか。法外な値段を取っているという意識は、彼女たちにはまるでない。周りの主婦占いたちと同じことをしているだけという意識なのだ。悪びれないところが空恐ろしい。
そんなにわか占い師を渡り歩く、迷える相談者も多い。一般から見ればプロフェッショナルな占い師と、にわか占い師を見分けるのは非常に難しいため、プロフェッショナルでない占い師ばかりを周ってしまうはめになる。
さらに、占い師は個人事業主であるので、そんな彼女たちを食い物にする起業コンサルタントも数多くいる。世間に疎い主婦の占い師たちは、知り合いの占い師が使ったコンサルタントに依頼をする。
するとどうだろう。面白いようにみんな同じ方法を使うのだ。アメブロやメルマガを駆使し、聖地ツアーやスピリチュアル講座を開く。飛び抜けて成功していなくても、1時間3万円も取れば十分稼げる。
興味深いのは、うまくいかない場合はどんどんコンサルタントを変えていく点だ。占い師で起業コンサルジプシーになる人も少なくない。どっちもどっちといえばそれまでだが……。
占いもスピリチュアルも宗教も今や紙一重の状態だ。妻がどれにハマっているかを知るのは、容易ではないだろう。
