暴言ゆるキャラ「まんべくん」ツイッター中止

 北海道長万部町のゆるキャラ「まんべくん」がツイッターで「日本の侵略戦争が全てのはじまり」など戦争に関する発言や毒舌を繰り返し、苦情が殺到していた件で、同町は16日、ツイッターを中止することを決めた。書き込んでいたのは、同町から委託されていたウェブサイト運営会社社長の男性(29)。同町が男性に対し「まんべくん」の商標使用許諾権のはく奪を通告したが、“つぶやき”を野放しにしてきた同町の管理責任を問う声も上がっている。
 人口約6000人の町を活気づけようと、「まんべくん」が誕生したのは03年。同町名産品のカニ、ホタテ、アヤメをイメージしたマスコットとして知られるようになった。
 「まんべくん」のさらなる認知度向上に一役買おうと、札幌市でウェブサイト運営会社を営む同町出身の男性が名乗り出たのは昨年10月。同町から商標使用権を得て、ツイッターなどでの発信を開始した。しかし、開始早々から「かかってこい」「豚野郎」「長万部なんて漢字も(国民に)読まれていない」などと、ゆるキャラらしからぬ奔放な書き込みを連発。その一方で「毒舌を吐くゆるキャラ」は話題を呼び、フォロワーは増え続けたが、複数のタレントを名指しで中傷することもあったという。
 これまで任せっきりにしていた同町が看過できなくなったのは、今月14日。「明日は終戦記念日だから、まんべくん戦争の勉強するねッ」「日本の犠牲者三百十万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数二千万人」などと太平洋戦争について発言。「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」と書き込んだ。
 これに対し、同町には苦情や抗議の電話が殺到。「これは町の公式見解なのか」「不快だ」「ゆるキャラがこんな発言をする必要があるか」。2日間で200件以上寄せられた。15日夜の時点では約8万8000件だったフォロワーは増え続け、16日午後9時半には9万7000件を超えた。
 同町は16日、町役場会議に男性を呼び「町に不利益をもたらす行為があった」として使用権のはく奪を通告。役場関係者は「本人もやり過ぎには気づいて反省した様子だった」と話した。白井捷一町長(72)は町のホームページ上で謝罪したが、同町の管理責任を問う内容のコメントが、アップから2時間で約400件寄せられた。
 ツイッターは中止となったが、同町は「まんべくん」を存続する方針。毒舌を吐かない「ふつうのゆるキャラ」に戻るという。
 ◆町を盛り上げようと男性「申し訳ない」 〇…「まんべくん」のツイッターで発言していた男性は16日、電話取材に応じ「故郷の町に迷惑をかけたことを申し訳なく思っている」と話した。過激な内容は、産業や観光名所が少ない長万部町を盛り上げる意図だったとし、「今まではギャグとして通用し応援してくれた人もたくさんいたが、戦争の話題は、そうはいかなかった」。だが、「今後も何らかの形で町のためになることをやっていきたい」と意欲を見せた。

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