最初の避難先で生存左右 東北大と民間気象会社など調査

 東日本大震災の津波から最初に避難する際、生存者は4人に3人が安全な場所に避難できたのに対し、犠牲者は4人に1人にとどまることが8日、気象情報会社ウェザーニューズなどの調査で分かった。津波で犠牲になった人は、避難しても安全な場所には逃げられなかった実態が浮き彫りになった。
 調査は5、6月、今村文彦東北大教授、矢守克也京都大教授と共同で実施。北海道から千葉県の太平洋沿岸1道6県の被災者のうち同社のサービス利用者を対象に行い、5296人から回答があった。このうち犠牲者の行動に関する回答は1998人で、家族や知人が分かる範囲で犠牲になった状況を答えた。
 最初の避難場所が安全な場所だった割合は生存者が77%だったのに対し、犠牲者は27%にとどまった。逆に最初の避難場所が安全ではなかった割合は、生存者の12%に対し犠牲者は64%に上り、最初の避難場所の安全性が生存を大きく左右した様子がうかがえる。
 地震発生から避難開始までの平均時間は生存者が19分、犠牲者は21分。避難先の平均の高さは生存者が2.9階、犠牲者が1.7階など、行動や判断にさまざまな違いも見られた。
 犠牲者が津波から逃げられなかった理由を複数回答で聞いたところ「避難経路に障害があった」が最多の18%。「再び危険な場所に移動した」「避難場所が安全ではなかった」が続いた。
 犠牲者の行動に関する全回答のうち、一度は避難したとみられる431人の行動に絞ると、60%が「再び危険な場所に移動した」と回答。「家族を捜しに」という理由が約3割で最も多かった。
 一方で生存者で避難した人1783人のうち再び危険な場所に移動したのは23%と、大きな差が出た。ウェザーニューズは「避難先から戻るのは危険なことがあらためて明らかになった。今回の結果を、今後の減災対策に役立ててほしい」と話している。

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