最大級津波から子どもをどう守る? 学校避難先、被災4県が見直しの動き

 東日本大震災の被災地の学校現場で、各県が昨年までに公表した最大級の津波浸水想定を踏まえ、避難先を見直したり校舎の高台整備を計画したりする動きが出ている。

浸水域外の山へ

 震災の津波で校舎が床上13センチ浸水した宮城県石巻市鹿妻小(児童281人)は、高さ3~5メートルほどの浸水が想定されている。

 学校は校舎3階に避難する従来計画を見直し、大津波警報の発令時は、浸水区域外の鹿妻山に向かうことを決めた。校舎で火災が発生した場合、逃げ場を失う恐れがあるためだ。学校から近いマンションの上層階も避難先に加え、複数の選択肢を設けることにした。

 見直し作業では県学校防災アドバイザーの学識経験者や地域に助言を求め、市に鹿妻山の歩道の舗装や備蓄倉庫の設置を要望した。学校は市が指定する緊急避難場所や避難所だが、教員を含めて不在にすることも地域に伝えている。

 防災主任の横江一樹教諭(34)は「安全な避難経路や確実な情報収集・伝達方法も検討したい」と話し、さらなる改善を目指す。

 河北新報社が今年1月に青森、岩手、宮城、福島4県の沿岸59市町村に実施したアンケートによると、津波浸水想定区域内に立地する小中学校は計32市町村の161校に上った。

 県別の内訳は表の通り。市町村別では青森市が24校、石巻市が22校、青森県八戸市が21校などだった。

 

高台に校舎整備

 岩手県普代村は村内唯一の小中学校の普代小(児童78人)、普代中(生徒46人)が浸水区域内に入る。

 町教委は、両校を統合して2027年度に開校させる義務教育学校の建設予定地を海抜100前後メートルの高台に決めた。担当者は「安全を最優先した」と話す。

 東北大災害科学国際研究所の佐藤健教授(学校防災)は「避難先の状況や逃げる距離などは学校ごとに異なる。教職員だけで防災を担うのではなく、地域や保護者も一緒に考えていくことが求められる」と指摘。地域全体で合意形成に取り組む必要性を強調する。

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