「7年前、糖尿病を患っている友人のために、玉ねぎを調理しやすく食べやすくしたいという発想から生まれたのが、“たまねぎ氷”でした。そこに、にんにくを加えて保存したのが“にんたまジャム”。さらに今回、日本人のソウルフードであり、“医者いらず”ともいわれるみそをミックスさせたのが“みそ玉”なんです。週末につくりおきしておけば、みそ汁はもちろん、和食、洋食、中華といろいろな料理に使うことができるので、とても便利ですよ」
そう語るのは、『一日一杯のみそ汁が、不調に効く! みそ玉』(永岡書店)の著者で、料理研究家の村上祥子さん。忙しい現代人のために手間ひまかけないで食べられる電子レンジ調理を考案し、たどりついた最強の健康食が“みそ玉”だという。
【みそ玉の作り方】
<材料> 700g(25g×28個分)
玉ねぎ…正味500g(中2個)
にんにく…正味100g(大1個)
水…100ml
みそ(塩分11%)…200g
<作り方>
1)にんにくは皮をむく。玉ねぎは皮をむき、上下を落として十字に4等分する。
2)耐熱ボウルににんにくを入れ、玉ねぎをのせ、水を注ぐ。両端をあけてラップをし、電子レンジ(600W)で14分加熱する。
3)2をミキサーにかけ、トロトロに攪拌したら常温に冷ます。
4)ボウルにみそを入れ、3を何度かに分けて加え、なめらかに混ぜる。
5)密閉容器に入れて冷蔵庫へ。冷凍する場合は製氷皿に移し、ふたをして保存する。※保存期間は冷蔵で約1週間、冷凍で約2カ月間。
「みそに塩みが含まれているので、それ以上に塩分をプラスする必要はなく、また、にんにくと玉ねぎからうまみ成分が十分に出るので、料理にだしを使う必要もありません。使うときは、凍ったままのみそ玉1個にお湯を注げば、1人分のみそ汁の完成です!」(村上さん)
みそ玉の味わい、そして健康効果に太鼓判を押すのは、東京医科歯科大学名誉教授で免疫学者の藤田紘一先生。
「みその褐色色素であるメラノイジンには、糖分の消化吸収を遅らせ血糖値を下げる働きが、大豆レシチンには、血中コレステロールの上昇を抑えて動脈硬化を防ぐ働きがあります。また、イソフラボンの効果で、1日3杯以上のみそ汁が乳がんリスクを40%下げるという報告もある。これが医者いらずといわれるみその効果です。みそ玉はこれに加え、にんにくのアリシンが活性酸素を消去し、玉ねぎの食物繊維とオリゴ糖が、善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれるというわけです」(藤田先生)
そしてもうひとつ、藤田先生が注目する物質がフィトケミカルだ。ミキサーで食物の細胞が壊されることで放出されるのだが、抗酸化作用のほか、免疫力アップ、デトックス、がん抑制、血液サラサラ、ダイエット、ストレス緩和、そしてアンチエイジングと8つもの作用があるというから最強だ。
村上さんが提案する“みそ玉”を使ったメニューは、電子レンジで作れる家庭料理が多い。なかでも今回は、蒸し暑くなる時季に体力をつけるため、栄養成分に注目した中華料理を教えてもらった。
【みそ玉ホイコーロー】
<材料> 2人分
キャベツ…200g
豚ばら薄切り肉…200g
A(みそ玉…2個<50g>、砂糖…大さじ3、おろしにんにく…小さじ1、豆板醤…小さじ1/2、ごま油…大さじ1)
<作り方>
1)みそ玉は解凍しておく。キャベツは4~5cm角に、豚肉は3cmの長さに切る。
2)耐熱ボウルにAを入れて混ぜ、豚肉を加えてからめ、さらにキャベツを加える。
3)クッキングシートをかぶせ、小皿をのせ、ラップをして電子レンジ(600W)で8分加熱する。
4)取り出して全体を混ぜ、器に盛る
健康の相乗効果:ビタミン群や亜鉛、鉄が豊富な豚肉と、ビタミンCやマグネシウムが含まれるキャベツで、疲労回復効果が抜群。
【みそ玉バンバンジー】
<材料> 2人分
鶏むね肉…100g
塩・こしょう…各少々
酒…小さじ1
貝割れ菜…1パック(40g)
A(マヨネーズ…大さじ1、みそ玉…1個<25g>)
白いりごま…少々
<作り方>
1)みそ玉は解凍しておく。
2)鶏むね肉はそぎ切りにし、耐熱皿にのせる。塩・こしょう、酒を振り、ラップをして電子レンジ(600W)で2分加熱する。あら熱がとれたら麺棒でたたきほぐし、細く割く。
3)器に2と貝割れ菜を盛り、Aを混ぜ合わせてかけ、いりごまを振る。
健康の相乗効果:高タンパクな鶏むね肉はダイエットの味方。貝割れ菜には抗酸化作用があるので、美容食にも最適な組み合わせ。
【みそ玉サバラーメン】
<材料> 2人分
キャベツ…200g
ピーマン…2個
水…600ml
即席中華麺…2袋
サバ(水煮缶)…1/2缶(100g)
コーン(水煮)…50g
サバ缶の汁…大さじ2
みそ玉…4個(100g)
<作り方>
1)キャベツは7~8cm角に切り、ピーマンは十字に4等分して種を取る。
2)鍋に水を入れて沸かし、即席中華麺をゆで、器に取り出す。
3)2の鍋に1を入れて火を通し、麺にのせる。サバの身とコーンものせる。
4)鍋のゆで汁にサバ缶の汁とみそ玉を溶き、煮立ったら火を止め、3の器に注ぐ。
健康の相乗効果:サバ缶に含まれるカルシウム&ビタミンDには、骨の修復効果がある。また、DHA&EPAが脳の老化予防にも。
「みそ玉を食材と一緒に電子レンジ加熱すると、10分もかからないうちに主菜が1品できあがります。みそ玉との相乗効果を考え、合わせる材料には、疲労回復を促す豚肉、消化を助けるキャベツ、高タンパクでヘルシーな鶏むね肉、骨を丈夫にするサバ缶を使いました」(村上さん)