最新版「入社が難しい有名企業」ランキング200社

2021年卒版の「入社が難しい有名企業ランキング」のトップはマッキンゼー・アンド・カンパニー。日本支社は東京・港区六本木のアークヒルズ仙石山森タワーにある (写真:yama1221/PIXTA)

文部科学省と厚生労働省が調査している大学生の就職状況によると、2021年卒の就職率は96.0%。採用活動が本格化する3年生の2、3月のときに突然のコロナ禍に見舞われ、学内企業合同説明会の中止やオンラインによる就活などの逆風が吹いたことから、前年を2.0ポイント下回った。


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それでも、3年生の夏の時期に開催するインターンシップなどに参加し、早くから企業にアプローチしていた学生は、比較的順調に就活が進んだようだ。企業の採用支援を行っているワークス・ジャパンの清水信一郎社長は次のように語る。

「コロナ禍でも、夏のインターンシップ参加者などを母集団とした選考は比較的スムーズに進んだ。早くから企業とコンタクトを取るなど、就職に対する意識が高い学生は、コロナ禍でも大きな影響は受けなかった。一方、3月の広報解禁を待って就活を本格始動しようと考えていた大学生は苦戦するという、就活の2極化現象が見られた」

大学別採用数を基に入社難易度を算出

特に就職に対する意識が高い難関大生の応募が多い有名企業は、コロナ禍でも順調に採用活動が進んだようだ。では、コロナ禍の影響が限定的だった有名企業は、どのような難易度の大学から入社しているのだろうか。大学の難易度をもとに入社難易度を算出しランキングした、「入社が難しい有名企業ランキング」から見ていこう。

入社難易度は駿台予備学校の協力を得て、模試の難易度を使い、大学通信が各大学に有名企業424社への就職者数をアンケート調査している結果とあわせ算出した。424社は日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選定している。

算出方法は次の通り。まず、今年の各大学・学部の難易度を、医学部と歯学部を除いて平均した値を各大学の難易度とする。平均難易度は、高い順に東京大学(70.0)、国際教養大学(68.0)、京都大学(66.3)、国際基督教大学(65.0)、早稲田大学(64.8)、慶応義塾大学(64.6)――となる。平均難易度が60を超えるのは、国公立大は旧帝大とそれに次ぐ準難関大以上、私立大は早慶上智、国際基督教大、明治大学、同志社大学で、国公私立あわせて23大学。

仮にA社の就職者が東京大6人、慶応義塾大4人、早稲田大5人だった時、A社の平均入社難易度は次のような式で求められる。(東京大70.0×6人+慶應義塾大64.6×4人+早稲田大64.8×5人)÷(東京大6人+上智大4人+早稲田大5人)=66.82になる。この値を基にA社の入社難易度を66.8としている。ランキングは就職判明者が10人以上の企業に絞って作成、同率で順位が異なるのは小数点第2位以下の差による。

最も入社が難しい企業は、外資系コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニー。2021年卒から外資系コンサルを調査対象企業に加えたため、過去の順位と比較できないが、ランキング上位が定位置の商社や不動産を抜いて1位になった。マッキンゼーの入社難易度69.4は東京大の平均難易度とほぼ同じ。それもそのはずで、就職者が多い大学は、東京大が最多の29人で、その他の大学は、京都大(3人)と名古屋大学(1人)の2大学のみ。ほぼ東京大で占められているのだ。

外資系コンサル、5大商社が上位にランクイン

2位も外資系コンサルのボストン コンサルティング グループ。就職者があった大学は東京大8人、京都大6人、早稲田大3人など8大学のみで、入社難易度は65.8となっている。

外資系コンサルは、PwCコンサルティング(11位)、デロイト トーマツ コンサルティング(15位)などが上位にランクインしており、その就職者が多い大学は商社と重なる。「企業経営の課題解決を主業務とする戦略系の外資コンサルをステップとして起業などを考える難関大生は多い。採用に向けたインターンシップに参加するためのハードルは高く、インターンで培った力がどこまで通用するのか試すために、商社を併願する学生も少なくない」(清水社長)。

難関大生から人気が高い商社はランキング上位に多く入っており、5大商社は4位三井物産、5位三菱商事、7位住友商事、16位伊藤忠商事、25位丸紅となっている。就職できる大学は限定的で、慶応義塾大(113人)、早稲田大(88人)、東京大(76人)、京都大(42人)、一橋大学(32人)、大阪大学(22人)、上智大学(19人)、神戸大学(18人)の8大学で5大商社の就職者全体の94%を占める。

ランキングに戻ろう。3位は、国際石油開発帝石から社名変更したINPEX。石油、天然ガス事業を海外で展開することから、留学経験者など海外で活躍したいと考える難関大生から支持され、高い入社難易度となっている。採用判明数の減少と連動して難関大の比率が高まり、昨年の19位から大きく順位を上げた。

6位の日本経済新聞社も昨年の21位から順位を大きく上げている。「新聞離れと言われるなか、デジタル展開に力を入れ実績を上げていることから、難関大生の目に将来性を期待できる企業と映っているのでしょう」(清水社長)。

8位は三菱地所で9位がKADOKAWA、10位には日本政策投資銀行が入った。ベスト10圏外で大きく順位を上げたのは、66位から14位に入った東京ガス。インフラ企業人気に加え、天然ガス事業を通じてカーボンニュートラルな社会構築に貢献できることが、難関大生の注目を集める要因のようだ。

業種別では不動産の難易度が上昇

「業種別・入社難易度ランキング」を見ると、近年難化が進んでいるのは不動産で、直近の3年間で27位→5位→1位となっている。

不動産の人気の要因について清水社長は、「街づくりや土地開発事業などを手掛けることから人気が高い業種。早慶上智やMARCH(明治大、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)など、平均難易度が高い首都圏の私立大からの入社が多いので、連動して入社難易度も高くなる」と、話す。個別の企業を見ると、8位三菱地所、13位三井不動産、17位東急不動産、21位東京建物などがランキング上位に入っている。

業種別で2位の広告や3位の放送、4位の商社の順位は高位で安定。広告は19位博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、42位電通。放送は、18位テレビ朝日、32位フジテレビジョン、54位テレビ東京などがランクインしている。

【表の見方】

大学の就職者数は、各大学へのアンケート調査と企業からのデータを使用した。未回答の大学は掲載していない。また、一部の大学は大学院修了者の人数を含んでいる。有名企業424社は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定した。社名はアンケート上の名称。「-」は調査対象外を表す。

難易度は、駿台予備学校全国マーク模試(合格可能性80%)を使用した。全データから、2部・夜間主コース、医学部医学科、歯学部歯学科、私立大共通テスト(2020年以前はセンター)利用入試を除いた難易度の平均を学部平均難易度とし、その平均値を各大学の平均難易度とした。ただし、共通テスト利用入試のみの私立大は共通テスト利用入試のデータを使用した。

企業難易度は、大学の平均難易度×その大学からの就職者数を企業ごとに合計し、その企業の就職者数の合計で割り算出した。同じ難易度で順位が異なるのは、小数点第2位以下の違いによる。就職判明者が9人以下の企業は除いた。

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