『全47都道府県幸福ランキング2018年版』(寺島実郎:監修、日本総合研究所:編)が東洋経済新報社より刊行された(5月25日発売)。各都道府県知事・メディアが注目する「総合ランキング」についての解説を転載し、紹介する。なおランキングの詳細については書籍をご一読願いたい。

福井県が3回連続でトップに

今回も福井県がトップに立った。本書(2018年版)はシリーズ4冊目となるが、2冊目の2014年版から3回連続の首位だ(1冊目の2012年版は長野県が1位)。図2─1を見てもわかるように、得点でも他の追随を許さない圧倒的な点数を誇っている。

前回(2016年版)と比べても、基本指標を含むすべての分野で順位が上昇しており、「仕事」「教育」は今回も1位。特に「教育」は得点も伸びており、学力の維持と社会教育の充実が盤石のトップの原動力となった。 ここで気になるのが、「なぜ福井県はこんなに多くの指標で順位が高いのか?」という点だろう。

2位には東京都が4回連続で入った。基本指標と「文化」の1位をキープしており、 得点もほぼ変わらず安定している。

では、東京都以外の人口集中都市を抱える府県は、どのように推移しているか。人口上位5府県の神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県の今回の順位を、前回ではなく、1冊目の2012年版と比較してみよう。

すると、愛知県(12位→7位)、埼玉県(21位→15位)が上昇しているのに対し、 神奈川県(7位→16位)、千葉県(11位→25位)が大幅にランクダウンしており、明 暗が分かれた。なお、大阪府は 42位→43位と、ほとんど変わっていない。

3~5位に入った長野県、石川県、富山県は、前回もそれぞれ4位、5位、3位と同じ 位置を占めており、貫禄のある安定感を見せた。ただ、1冊目の 2012 年版と比較すると、ちょっとした違いが見えてくる。それは、「上昇」「キープ」「下降」に分かれるということだ。

まず「上昇」は石川県(9位→4位)。最初は近隣の福井県と富山県から離されていたものの、毎回順位を上げて追いついた。

次に「キープ」は富山県(4位→5位)。常に1位の「生活」を筆頭に全分野が安定しており、今後も大きく順位を下げることはなさそうである。そして「下降」は長野県(1位→3位)。とはいえ5位以下に落ちたことはなく、ポテンシャルを考えると復権が期待できる。1位、2位から6位、9位に後退した「健康」「生活」を軸に取り組む必要がある。

山梨県、山形県、茨城県、三重県が躍進

前回(2016年版)からジャンプアップしたのが、山梨県(14位→6位)、山形県(22位→10位)、茨城県(26位→11位)、三重県(23位→13位)である。

ポイントは「健康」と「文化」で、「健康」は三重県、「文化」は山梨県と山形県、両方とも上昇したのが茨城県。また、山梨県は今回の追加指標5つのうち2つで1位を取っており、これも上昇の一因となった。

下位でも北海道(40位→33位)、宮城県(42位→36位)などが順位を上げており、 山形県とあわせ、北日本が健闘した形である。

下位の5府県は、順位の上下は若干あるものの、前回と変わらない結果となった。特に、最下位の高知県から45位の沖縄県は、1冊目の2012年版から今回まで4回連続で ワースト3となっている。分野だけでなく個別指標の強みや伸びに着目しながら、脱出の糸口を見出したいところである。