蓄積された疲労を感じやすい連休明け。肌荒れやエイジングサインが気になることも…。乱れた生活習慣は老化を早めてしまう原因にもなるので今すぐに見直したいですよね。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、老化を防ぎ、健康を維持するための食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます!
老化を早める食習慣を改めよう
朝はパン、昼は麺、慢性疲労… 「どんどん老化していく人」の特徴と対策© ananweb 提供
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 265
連休が終わりとうとう日常が戻ってきましたね。いつもと違った生活リズムになったり、食べ過ぎたり、飲み過ぎたり、夜更かしが続いたりすることで、疲労感や眠気、胃腸の不調、肌荒れなど様々な不快症状を感じている人も多いのではないでしょうか。また、そんなときには内臓の鏡として知られる皮膚の質がごわついたり、クマができたりと、エイジングサインが現れることもあるかもしれません。
一方で、紫外線対策も本格化し、ダイエットにも力を入れたい時期になってきましたが、マイナスのコンディションでスタートしてはいませんか? 紫外線対策もダイエットも、まずは連休で蓄積した疲労や、老けを加速する生活習慣などをリセットすることから始めていく必要があります。ということで、今週は老化を早める習慣を改め、美容の土台となる食薬習慣を紹介していきます。
今週は、老け顔の対策となる食薬習慣
夏本番の90%の紫外線量が降り注ぐ日もあるといわれている5月になりました。お肌の老化は、加齢によるものだけではなく、年々積み重なっていく紫外線による光老化によるものが大きいとされています。お肌の問題は、体の内側からと外側からのエイジングケアの両方が必ず必要となります。紫外線対策や保湿をしっかりとしているからOKと考えるのではなく、体の中から老化の原因となる糖化や酸化を防いでいくことも考えていかなければなりません。
漢方では若々しく健康でいるためには、加齢にともない失われる水分保持能力である『腎陰』を保持し、体の炎症により生じる『虚熱・実熱』を防いでいくことがよいと考えられています。そして、これらは睡眠不足や砂糖、小麦製品などの糖質過多、ストレス過多などによって状態を悪化させていきます。
まずは、紫外線対策とともに睡眠時間の確保をしつつ、甘いものやパンや麺などの小麦製品をなるべく控えるようにし、体の基礎を作っていくことがおすすめです。とくに、『虚熱・実熱』を生じるときには、体の炎症を抑えるためにコルチゾールが副腎から分泌されます。それがうまく対応できないと、老化や不調が助長されてしまいます。重要なのは、副腎に負担をかけないように酸化・糖化・炎症の原因となるものを控え、副腎をケアしたり、抗酸化や抗糖化につながる『腎陰』を補うことです。
そこで、これを解決するために『実熱・虚熱』の対策となり、『腎陰』を補う食薬がおすすめです。
今週食べるとよい食薬は、【玉ねぎとサーモンのマスタードマリネ】です。そして逆にNG習慣は、糖化や酸化、腸の炎症などにつながる【朝のパン習慣】です。
お肌を整えるために、様々な基礎化粧品を探し始めている人は、まずは何かを購入するよりも老化の原因となる食習慣をみつけ、見直してみてはいかがでしょうか。
食薬ごはん【玉ねぎとサーモンのマスタードマリネ】
抗酸化作用のあるアスタキサンチン、ビタミンE、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸、などを含むサーモンに抗酸化作用の高いイソチオシアネートやアリシン、ケルセチンを含む粒マスタードやタマネギと一緒に合わせて作る簡単マリネです。
<材料>
タマネギ 1/2個(スライス)
スモークサーモン 100gくらい(お好みのサイズに切る)
粒マスタード・オリーブオイル 各大さじ1
お酢・塩 お好みで
<作り方>
材料をポリ袋に入れよくまぜ15分くらいおいたら完成。
NG行動【朝のパン習慣】
お肌を早くキレイにしたいと考えるときに、インスタなどで話題になっている化粧品などをチェックし、気になる部位に直接アプローチすることで、解決しようとするかたは多いと思います。ですが、化粧品は薬ではないので、思ったようにすぐに効果を実感することは難しいかもしれません。紫外線や摩擦、洗顔の方法、合わない化粧品、湿度など外側からの影響もあるとは思いますが、体の中から炎症を生じさせる原因もあります。肌トラブルや老化は複合的に加速していくものなのです。
そのため、腸内環境を荒らし、炎症の原因となるパンや麺などに含まれるグルテンの摂取を数日間連続的に控えてみることは有意義だと考えられます。肌に対して影響があるかどうか、実際に実践しチェックしてみてはいかがでしょうか。腸への負担が減り腸の炎症が軽減することは、副腎の負担を減らすことにもつながり、『腎陰』の消耗を抑えてくれます。
楽しかった連休が終わり、太ったり、むくんだり、肌荒れしたり…どうにかしなくては、と考え始めるタイミングだと思います。新しい化粧品やエステなどに手を出すよりも先に、短期的に生じた悪習慣を長期化させずに早く元の状態に戻すことから、エイジングケアをしていくことをおすすめします。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。
近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。
ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。
Information
<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
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