朝日新聞社の報道姿勢への疑念と怒りが、「臨界点」に達しつつある。2014年に慰安婦問題の大誤報を30年以上も放置してきたことを認めたが、その検証記事の英語訳の一部が、インターネット上で検索できない仕組みになっていたのだ。ネット上では「卑怯(ひきょう)」「日本の恥」「故意ではないか」などと糾弾されているが、元朝日新聞の敏腕記者、長谷川ひろし氏も古巣を一刀両断した。
「朝日新聞は、何も反省していない。検索回避を故意にやっていたとすれば、重大な話だが、問題の核心は別のところにある」
長谷川氏は、夕刊フジの取材にこう強調した。
朝日新聞は、14年8月に吉田清治氏(故人)の「済州島で慰安婦を強制連行した」とする証言を虚偽と認め、過去の記事を撤回した。今回、吉田証言の虚偽を検証した記事の英訳版など2本が、グーグルで検索できない状態になっていた。
長谷川氏は「4年前に記事を取り消してから、海外の主要紙に向け、虚偽の認定と記事の撤回を伝える社告をいまだに出していない。最低限の義務を怠り、『不正』を続けている」と非難した。
批判の矛先は、「forced to provide sex」(性行為を強制された)という朝日新聞デジタル英語版の表現にも向く。長谷川氏は次のように訴えた。
「『forced』は多義的で、強制性のニュアンスを残したいという姿勢が表れている。曖昧な表現ではなく、『旧日本軍による強制連行はなかった』ことを、英語で明確に示すべきだ」