朝日新聞 週刊ポストのJTB選挙協力スクープを再びパクる厚顔

警告しておいたはずなのに、また朝日新聞が「週刊ポスト」のスクープを無断でパクる“事件”が起きた。
 週刊ポストは12月8日発売号で「JTBがグループ社員に送った『創価学会様に選挙協力』メール」と題し、同社がグループ2社の社員に「創価学会様」から選挙協力を求められているから「出来る限りの協力」をするよう求める社内メールを送っていたことをスクープし、顧客だから応援するという姿勢は、あまりにも国政選挙を軽く考えていると批判した。
 するといつもの通り、朝日新聞は2日遅れの10日朝刊で「JTB、公明支援要請」と堂々と打ち出して、「旅行大手のJTBが、14日投開票の衆院選で、公明党に協力するよう求める文書をグループ2社に送っていたことが分かった」と、お得意の「分かった報道」をやらかしたのである。しかも記者の署名まで入れて独自記事の体裁を整える、やりたい放題ぶりである。もちろん週刊ポストの「ポ」の字もない。
 朝日に限らず大新聞が週刊ポストのスクープを無断でコピーすることは日常茶飯事だが、あまりにその無法が目に余るため、ポストは前々号(11月22日発売)で、「本誌『交番SEX』スクープの『コピペ報道』でわかった朝日ほか大新聞のズル賢さ」と題した警告記事を掲載していた。
 その矢先の“再犯”である。しかも今回みっともないのは、朝日が二重のパクリをしていることである。ポストの早刷りを発売前にチェックして気づいた時事通信が、同誌の発売当日に、これも情報源を明示せずに「分かった報道」を流し、朝日はさらにそれを見て気づいて翌々日の記事にしたと思われる。それだけ後発にもかかわらず、中身はポストが入手して引用したメールさえ載っておらず、JTB社員のコメントもなく、批判もしない。
 ただ同誌記事にある事実関係をなぞり、そこに創価学会とJTBのコメントを付け加えただけのもので、これなら中学生の壁新聞でも作れる簡単な後追い報道である。それを署名記事にして独自ネタのように装うことが恥ずかしくはないのだろうか。
 前回の警告記事で指摘したように、新聞記者は普段は権力者の会見やリーク情報をそのまま書くだけの“簡単なお仕事”しかしていないのに、週刊誌を「新聞より下の存在」とバカにする傾向がある。それ自体、おそらく彼らの「エリート意識」とは、職責に対する責任感や自負心から生まれるものではなく、ただただ自分も権力側の人間であるという自己陶酔に根差しているのだとわかる。実は自分たちの俗物ぶりを知っているからこそ、「週刊誌は低俗」とか「週刊誌はウソばかり」などと陰口を叩くのだろう。
 事実は逆で、権力者や大企業、有名人らと対峙する週刊誌メディアこそ、独自に情報源を築き、取材を尽くして慎重に事実のみを報じなければ、すぐに反撃や告訴を受ける。一方、それら取材対象と“なあなあ”でやっている大新聞は嘘を書いても平気な顔である。そういう虚飾の仕事ばかりしているから、彼らは週刊誌をパクるときに、さも自分たちが独自に取材したフリをしたがる。それが「分かった報道」なのだが、そのほうがずっと醜悪だということに、いい加減に気づいたらどうなのか。
 しかも新聞やテレビなどの大手メディアは、選挙が公示された途端、自民党からの圧力に屈して政権批判、候補者・選挙運動の問題を報じなくなった。選挙中に飛び出した麻生太郎・副総理の「産まないのが問題」という大暴言ですら、「『失言』と受け止められる発言」(読売)とか、「『問題発言』とも取れる発言」(日経)などと回りくどい、ひどい日本語で報じるのが精一杯だったのである。メディアが選挙報道で遠慮し、批判を避け、候補者に特別な配慮をするようになったら、もう筆を折ったほうがいい。
 朝日をはじめ大新聞の記者は、記者会見であんなに偉そうに反り返っているのだから、それに見合った取材力と職業倫理を身に付けるべきだ。

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