来年卒の就活生も「銀行離れ」鮮明

学生の就職人気ランキングは「時代を映す鏡」といわれる。企業の業績不振や不祥事、採用減といったニュースが伝えられると、その企業や職種への就職を敬遠する学生が増え、ランキングが落ちるからだ。

 就職情報サイト運営の「ディスコ」(東京)が、就職活動をしている来年卒業予定の学生を対象とした昨年11月時点での志望業界調査によると、前年同期は1位だった銀行が8位に急落した。

 学生1207人が全40業界から5つまで志望業界を選択。銀行志望は文系と理系の男子、女子を合計した全体で14・5%と、前年同期より4・4ポイント下がった。同時期の調査で銀行が首位を明け渡すのは、現在の調査方法を採用した平成23年以来、初めてという。

 人工知能(AI)の導入が進み、業務効率化の波が押し寄せる銀行業界は29年秋以降、メガバンクを中心に採用抑制の方針を相次いで打ち出した。これが影響したのか、「銀行離れ」の傾向は31年卒業予定の学生でもみられたが、来年卒ではより顕著になった印象だ。ディスコの担当者は「銀行の低位置は定着化する可能性がある」と話す。

 今回の調査では、前年同期6位の「医薬品・医療関連・化粧品」が首位に立った。全体で18・5%が志望し、理系女子に限れば46・3%と人気が集中した。

 長年続いた銀行人気に陰りが見えるのは、時代の変化を如実に反映している。引き続き学生有利の売り手市場となりそうな来年卒の就職戦線。ランキングの推移に注目したい。

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