低燃費のエコカー「ブラグインハイブリッド」(PHV車)が、2011年12月に開催される東京モーターショーに続々と登場する。
PHV車は現行のハイブリッド車(HV)よりもさらに低燃費で、電気自動車(EV)よりも長距離走行が可能。そのうえ、東日本大震災以降はクルマから電気を引いて生活家電を動かす「電力」としても使えると注目を集めている。
電気モーターだけでトヨタ23キロ、ホンダ50キロ
PHV車は、従来のHV車と同様に、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するところは変わらないが、その名のとおり家庭用電源からプラグで直接電力を引いて「充電」して走る。現行のHV車よりも二酸化炭素(CO2)の排出が少ないし、エンジン音も静かだ。
トヨタは2012年1月に、現在のプリウスをベースにしたPHV車を発売する。クルマに搭載する燃料電池を、従来のニッケル水素電池から高性能リチウムイオン電池に代え、電気モーターだけで1回のフル充電で23.4キロメートルを走行する。
PHV車は電気の利用が多くなる分、燃費がいい。トヨタは、現行のプリウス(32.6キロメートル)の約1.8倍にあたる「1リッター57キロメートル」(JC08モードによる燃費測定)を打ち出した。販売価格は300万円程度を目指し、欧米にも輸出するという。
ホンダはPHV車のコンセプトモデル「AC‐X」を、東京モーターショーに出展する。エンジン走行モードを選べば従来のようなアグレッシブな走りが楽しめ、「自動運転モード」だと、リラックスした走りができるという。
流線型のデザイン。1.6リッターエンジンと120キロワットの高出力モーターの組み合わせで走り、電気モーターのみでも1回のフル充電で50キロ、最大航続距離1000キロ以上を走る。
三菱自動車のPHVも「リッター60キロ超」
三菱自動車はEV車の「i‐MiEV」(アイミーブ)が先行しているが、東京モーターショーでは「リッター60キロ超」を走るPHV車「コンセプトPX‐MiEV」がお目見えする。
EV車はフル充電でも航続距離が200キロメートル程度といわれ、長距離走行がむずかしいのが欠点。クルマの電気はカーエアコンなどの冷暖房にも使われるため、その使用によっても走行距離が短くなる恐れもある。
それを補うのがガソリンエンジンだが、フル充電とガソリンエンジンで「800キロメートル以上の航続距離になる」(三菱自動車)という。走行時も含め車両の状態を常時モニタリングし、常に充電量を最適に制御するEIS(Electric Vehicle Integration System)を独自に開発した。
東京モーターショーでは災害時などの電力需要ひっ迫時への対策として、家庭内でのエネルギー利用を最適化するHEMS(Home Energy Management System)とPHV車両を組み合わせる統合システムを紹介。また「MiEVカフェ」を設置して、EVの電力で作ったコーヒーを来場者にふるまう。