東京・吉祥寺 人手は少なめなのに“マスク販売店だらけ”の怪

マスク不足は解消された!? 緊急事態宣言下のゴールデンウイークが始まった。小池百合子東京都知事が「ステイホーム週間」と言い換えたように、観光地からは「頼むから来ないで」と悲痛な声が出るほどの異常事態になっている。そんな中、にぎわっているとウワサされる東京・吉祥寺はどうなっているのか。26日に訪れると通常より人出は少ないものの、その代わりにマスクが大量販売されていた。

 住みたい街ランキングでは常に上位に位置する吉祥寺。新宿や渋谷とは電車1本で結ばれている立地に、たくさんの店がある商店街があり憩いの場となる井の頭公園も近いなど、住みやすい環境が人気だ。一方で新型コロナウイルスで新宿や渋谷などの人通りが少なくなったが、吉祥寺はにぎわったままだと指摘されていた。

「ステイホーム週間」で最初の日曜日となった26日の吉祥寺は、コロナ禍以前よりもかなり人は少なかった。

 そうはいってもアーケード街「サンロード」を中心に人通りがないわけじゃない。開いている店は多く、家族連れにカップル、友達同士などもいる。東京都は必要な買い物についてもなるべく1人で行き、3日に1回程度にすることを求めている。もっと人出を減らせる余地はある。

 そんな吉祥寺で今、増えているのがマスクだ。ドラッグストアで売っているのではない。衣料品店に雑貨屋、さらには週貸店舗や露店でのマスク販売が出現している。

 店によってまちまちだが、50枚入りの箱で3500円前後が相場。立ち止まっては箱をしげしげと見つめ、買おうかどうか迷っている人たちが多くいた。1枚あたり約70円という価格がコロナ禍以前よりも高いのでちゅうちょするのも当然だろう。

 購入してみたがマスク自体はちゃんとしているように感じた。ただの布マスクではなく不織布マスクである。

 一体、このマスクはどこから来たのか。マスクを販売する店の従業員は「以前から中国の工場でマスクを作っていたんですけど、高騰しちゃったんですよ。それでいつもは医療機関が買ってくれていたのが、高すぎて買ってくれなくなっちゃったんです。マスクを持っていくところがなくなってしまったので、こうして売っています」と説明した。

 世界的にマスク需要が高まっており、仕入れ価格が何倍にもなっている。医療機関がこれまでの価格で買えなくなったとの話もあり得ないことではない。

 都内の病院スタッフは「コロナ前、医療用はピンキリですが、50枚100円から2000円でしたね。コロナ禍から2~3倍になって、今はもっと」と明かす。不足と高騰のため、政府は医療機関に優先的にマスクを配布している。

 シャープのマスクが50枚、税抜き送料別で2980円ということを考えれば、一般人にとって50枚3500円は法外な価格とは言い切れない。

 1人500枚までと制限をしている店もあったが、なんと1人で何百枚も買っていく人がいるのだという。欲しがる人はいるのだ。

 これだけマスクが売られているからか、吉祥寺を歩く人たちはほとんどマスクをしていた。行列で有名なメンチカツ店はソーシャルディスタンスを意識して距離を空けて並んでいる。しかも、たくさん並んでいるときでも5組と普段よりかなり少ない。井の頭公園はそこそこの人出。有名な焼き鳥店を訪れる人もぼちぼちいた。また、ピンサロがある路地にも行ってみると、ちゃんと営業していた。

 吉祥寺がいつも通りになるのはいつになることやら。 

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