東京五輪の影響で「買って住みたい街」が激変! 勝どきと東京の人気急上昇

株式会社LIFULL(ライフル)が「2020年 首都圏版LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング」(以下、「住みたい街ランキング」)を発表した。

◆住みたい街ランキングが激変!

 「住みたい街ランキング」はライフルが運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」に掲載された賃貸物件・購入物件への問い合わせを駅ごとに集計したものとなる。2019年1月1日から12月31日までが集計の対象期間で、借りて住みたい街(賃貸物件)と買って住みたい街(購入物件)のふたつのランキングが公表されている。

 借りて住みたい街では、4年連続で池袋が1位を獲得。多少の順位の変動はあるもののベスト10は北千住と本厚木が新たに加わった以外は昨年と同じ顔ぶれが並んでいる。根強い人気の街がランキングに名前を連ねるという結果になった。

 一方の買って住みたい街では、勝どきが前回から15もランクをあげて1位を獲得。勝どきが1位となるのはランキングの公表が始まってから初だという。その他にもジャンプアップした駅も珍しくなく、5位には昨年から133も順位をあげた東京がランクインするなどしている。

◆オリンピックで住みたい街が変化?

 買って住みたい街ランキングの激変の背景には東京オリンピックがあると考えられる。

 特に1位の勝どきは東京オリンピック・パラリンリンピックの選手村が建設されている。選手村は14から18階建ての高層マンションで、大会後は、新設する50階建て2棟と共に分譲・賃貸住宅として供給される予定だ。人口の急増が見込まれており、オリンピックによって街の風景が大きく変わるエリアの代表格と言えるだろう。

 勝どきは交通の便の悪さから「陸の孤島」と称されることもあり、現状においては住みやすい地域とは言えない面があるが、今後はバス高速輸送システムも整備される予定だ。また、オリンピック後には商業施設や学校、介護住宅なども建設される。人口の増加と共に、交通や生活環境の充実も期待されている。

 勝どきを筆頭に今年大きく順位を伸ばした駅は、今後の利便性や資産価値の向上などを視野に入れた長期的な視野を含んだ判断があるようだ。なお、買って住みたい街で1位の勝どきであるが、借りて住みたい街では191位と100位圏内からも大きく外れている。購入派と賃貸派での意識の違いが垣間見れる結果となっている。

◆住みたい場所は利便性と生活環境が重要

 オリンピック特需の影響が目立った今年のランキングだが、その他の点についても紹介したい。

 買って住みたい街では、3位三鷹(27アップ)、8位町田(12アップ)、9位二子玉川(24アップ)が勝どきと東京以外で大きく順位を伸ばしてベスト10に入っている。また、昨年より順位を落したものの、6位八王子(4ダウン)と7位浦和(1ダウン)も都心以外で人気を維持するエリアとなっている。

 今年順位をあげたエリア、昨年から引き続いて人気のエリア共に、交通の利便性がよく生活もしやすい場所という特徴を持っている。また、借りて住みたい街においても同様の傾向が見られる。

 2位葛西(3アップ)、4位本厚木(7アップ)、5位大宮(2アップ)の3つが順位をあげてベスト5に入ってきたが、これらも利便性もしくは生活環境が良いエリアだ。昨年より順位を落したものの3位の川崎(1ダウン)も同様の傾向を持つエリアと言えるだろう。

 買って住みたい街ほどでないにせよ、借りて住みたい街も順位の入れ替わりが活発であり、逆説的に4年連続で1位となっている池袋の強さが際立つ。どこに住むか迷ったらとりあえずは池袋周辺を見てみるというのは、ひとつの手かもしれない。

◆今後、郊外のニーズ高まる?

 現状においてはまだ大きな変化とは言えないが、郊外の人気の高まりも今年の見逃せないポイントだろう。

 買って住みたい街では17位「印西牧の原」(千葉県印西市)(11アップ)、26位「八街」(千葉県八街市)(44アップ)、28位「大網」(千葉県大網白里市)(15アップ)などのいわゆる郊外と言われるようなエリアも大きく順位をあげている。都心近郊は物価が高止まりしており、簡単には手を出せない。より安価に自然環境の中でのびのびと暮らせる場所が人気を集めているようだ。

 また、郊外の再注目にはテレワークや時短勤務などの働き方改革もこの傾向を後押ししていると分析されている。郊外に住む大きなネックとして通勤や通学の負担を考える人は少なくないだろう。この負担が緩和されていけば、今よりもさらに需要が高まっていくかもしれない。

 オリンピックや働き方改革の影響で変化する住みたい場所の人気。今後どのような変化が現れるのかも注目したい。

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