2020(平成32)年夏季五輪招致を目指す東京都が、東日本大震災の被災地、宮城スタジアム(宮城県利府町)でサッカーの一部を行う構想をまとめたことが27日、分かった。戦後の焼け野原からの復興を世界に示した昭和39年の東京五輪のように、今回は「復興」をテーマの一つとすることを掲げており、その具体化の第1弾となる。
都ではすでに「大震災で大きく傷ついた日本をスポーツの力で再生し、復興した日本の姿を世界に披瀝(ひれき)する」(石原慎太郎知事)と位置づけている。
今回の構想では、晴海地区(中央区)を中心とした半径8キロに会場を集中し、環境に配慮した「コンパクト型」会場配置を想定。全35会場のうち、28会場を8キロ圏内に配置する。これは2016年五輪の誘致の際に練ったプランを大筋で踏襲した。
陸上競技などを行うメーンスタジアムは、前回誘致の際には「晴海に新設」としていたが、今回は国が大規模改修方針を固めた国立競技場(新宿区)とした。同競技場は昭和の東京五輪の象徴でもあり、招致への関心を高めることも狙う。
会場群の中心となる晴海には、前回は有明地区(江東区)としていた選手村を設置。前回選考ではコンパクト型が「選手が移動のストレスを感じることなく競技に集中できる」と評価されており、より磨きをかける。有明では、テニスやビーチバレーなど前回計画の競技に加えて、自転車やバレー、体操も開催することで、選手や観客の利便性を高める。世界の報道関係者らが集まるメディアセンターは、前回と同じく有明の東京ビッグサイトに置く。
サッカーは広域で行い、宮城県のほか札幌ドームや埼玉スタジアム、横浜国際総合競技場でも開催する。