起業促進を目的に国と東京都が4月に開設した「東京開業ワンストップセンター」(東京都港区)で、会社設立の登記実績が1件もないことが14日、分かっ た。国家戦略特区の指定に伴う全国初の窓口として、会社設立の煩雑な事務手続きを一元化したが、現時点の成果はいまひとつ。同特区に内定した仙台市でも同 様なセンターの設置予定があり、具体的な計画づくりに影響が及びそうだ。
内閣府と都によると、ワンストップセンターは会社設立の迅速化が目的。設立の際に必要な登記や税務、保険といった手続きを1カ所で済ませられるのが特徴だ。開所式には安倍晋三首相が出席し、センターは政権が目指す成長戦略の成果と強調していた。
来所者数は6月末現在で計390人と1日当たり6人程度。センターには各種事務手続きを担当する相談員らが最低8人常駐し、運営費として本年度は国が約2600万円、都が約1250万円負担している。
内閣府は「前例のない事業のため事前に需要予測はしていなかった。会社の登記はゼロだが、起業に向けた相談窓口として機能している」と説明する。ただ周知が不足していた面はあったとして、秋にセンターの運営委員会を開いて利便性の向上策を話し合うという。
仙台市は、国家戦略特区の一環として同様の起業ワンストップ支援センターを設けることにしているが、「東京の状況を見極めて計画の具体化を考えたい」(プロジェクト推進課)と推移を見守る考えだ。