住みたい街か/住みたくない街かを判断するとき、大きな要素となるのが「治安」。そこで「東京23区」に絞って、街の治安についてみていきます。
「住みたくない街の特徴」は?圧倒的1位は「治安が悪い街」
株式会社AlbaLinkは、全国の男女に対して『住みたい街・住みたくない街の特徴に関する意識調査』を実施しました。
住みたい街の特徴として最多は「買い物に困らない」で47.4%。「治安がいい」(44.0%)「交通の便がいい」(40.4%)「静かで落ち着いている」(25.2%)「自然を感じられる」(20.4%)と続きます。一方、住みたいくない街の特徴として最多は「治安が悪い」で55.0%。「騒音がひどい」(33.8%)「交通の便が悪い」(22.6%)「商業施設が少ない」(19.0%)「家賃・物価が高い」(11.2%)と続きます。こうしていくと、住みたい/住みたくないの判断として「治安」は大きな要素だといえるでしょう。
警視庁『令和5年 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数』によると、令和5年、東京都23区における犯罪認知件数は6万5,874件。区ごとにみていくと、認知件数最多は「新宿区」で5,537件。「江戸川区」「足立区」「世田谷区」「大田区」と続きます。
件数トップの「新宿区」についてみていくと、強盗などの脅迫犯が65件、暴行や傷害、脅迫などの粗暴犯が691件、空き巣などの侵入窃盗が152件、自転車窃盗や万引きなどの非侵入窃盗が3,410件と、犯罪の種別に関わらず多くなっています。東洋一の歓楽街といわれる歌舞伎町を有することなどが要因と考えられます。
【東京23区「犯罪認知件数」ワースト10】
1位「新宿区」5,537件
2位「江戸川区」4,289件
3位「足立区」4,222件
4位「世田谷区」4,084件
5位「大田区」3,851件
6位「練馬区」3,480件
7位「豊島区」3,405件
8位「渋谷区」3,388件
9位「江東区」3,254件
10位「港区」2,980件
さらに世帯数あたりの犯罪認知件数をみていくと、最多は「千代田区」で1,000世帯当たり62.9件。「新宿区」「渋谷区」「台東区」「港区」と続きます。
【東京23区「1,000世帯当たりの犯罪認知件数」】
1位「千代田区」62.9%
2位「新宿区」25.5%
3位「渋谷区」24.3%
4位「台東区」22.6%
5位「港区」20.4%
6位「豊島区」19.3%
7位「中央区」18.9%
8位「墨田区」13.6%
9位「江戸川区」12.4%
10位「葛飾区」11.9%
町丁別に「住みたくない街=治安の悪い街」をランキング
さらに町丁別にみていくと、トップは「新宿区新宿3丁目」で、認知件数は813件。「新宿区歌舞伎町1丁目」「豊島区南池袋1丁目」「新宿区歌舞伎町2丁目」「豊島区西池袋1丁目」と続きます(関連記事:『東京23区「治安の悪い街」ランキング〈ワースト100〉をすべてみる』)。
【東京23区「町丁別犯罪認知件数」】
1位「新宿区新宿3丁目」813件(101人)
2位「新宿区歌舞伎町1丁目」756件(65人)
3位「豊島区南池袋1丁目」519件(2,302人)
4位「新宿区歌舞伎町2丁目」498件(2,018人)
5位「豊島区西池袋1丁目」370件(317人)
6位「渋谷区宇田川町」361件(813件)
7位「大田区蒲田5丁目」358件(4,324人)
8位「千代田区丸の内1丁目」344件(ー)
9位「豊島区東池袋1丁目」329件(1,200人)
10位「新宿区西新宿1丁目」327件(ー)
※(かっこ)内数値は、令和2年国勢調査よる該当地域の住民数。(―)は住民なし
トップとなった「新宿区新宿3丁目」は、「新宿」駅東口一帯。全国でも髄一の繁華街で、人の賑わいの分、犯罪が多くなるのも頷けます。
――そんな繁華街に住んでいる人、いるの?
令和2年に行われた国勢調査によると、「新宿区新宿3丁目」の住民は101人。少ないながらも、しっかりと住民はいます。このなかで住民が確認されない街は、「東京」駅丸の内・北側一帯の「千代田区丸の内1丁目」と「新宿」駅西口駅前一帯の「新宿区西新宿1丁目」。ほかは住民が確認できますが、「新宿区新宿3丁目」同様、どこも名の知れた繁華街や歓楽街の中心となる地域。犯罪が多くても納得の街です。
一方で「治安が悪く、住みたくない街」であっても、「住みたい街」の特徴としてある「買い物に困らない」「交通の便がいい」に関しては、トップクラスの利便性を誇るという一面も。「住みたくない街」と「住みたい街」は、表裏一体といえそうです。
[参考資料]
株式会社AlbaLinkは『住みたい街・住みたくない街の特徴に関する意識調査』
警視庁『令和5年 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数』