東北、GS過疎拍車 1年間で135ヵ所減

 東北のガソリンスタンド(GS)の減少に歯止めがかからない。経済産業省の調査では、2012年度末時点で4002カ所と、前年同期比で135カ所(3.3%)減った。ガソリンの需要減などが要因だが、東日本大震災ではライフラインとしての重要性が再認識されたばかり。「GS過疎」が進む現状に、業界は懸念を強めている。
 経産省資源エネルギー庁によると、12年度末の東北の県別GS数は青森658カ所(前年同期比4.4%減)、岩手582カ所(3.3%減)、宮城727カ所(2.2%減)、秋田553カ所(4.3%減)、山形521カ所(3.3%減)、福島961カ所(2.6%減)。
 東北全体のGS数の推移はグラフの通り。統計がある1994年度末の6315カ所から下落し続け、12年度末は94年度末に比べ36.6%も減った。
 東北のGS過疎の状況は表の通りで、自治体内に1カ所が9町村、2カ所が7町村だった。3カ所は岩手県平泉町、福島県新地町など13町村。東北以外では、全国の7町村でGSがゼロとなっている。
 減少が止まらない背景には、GSを取り巻く環境の変化がある。エコカーの普及と若年層の車離れによる需要減に加え、卸売価格の決定権を元売り各社に握られたまま安売り競争が激化し、採算性が落ちた。近年では、老朽化したタンクの改修が義務化されたことも打撃となった。
 岩手、宮城、福島の被災3県の沿岸部では、津波で壊滅的な被害を受けたGSも少なくない。「復興まちづくりの具体像が見えず、営業を再開するかどうか決めかねている業者もいる」(東北経済産業局)といい、市街地再生が進まなければ店を畳むGSが増えることも予想される。
 宮城県石油商業組合によると、県内で津波被害を受けたGSは106カ所。8月22日現在で45カ所が復旧にこぎ着けたものの、52カ所が廃業、9カ所で休業が続く。
 同組合の佐藤義信理事長は「災害に備え、原油ではなく、すぐに使える石油製品を各地で備蓄、供給できるようにする必要がある。その意味で沿岸、内陸を問わず、GS過疎があってはならない」と訴えた。

タイトルとURLをコピーしました