東北の主要漁港で9月末までのサンマの水揚げが、極端な不漁に終わった前年同期を軒並み上回った。漁獲の回復を受けて水産関係者は、三陸沖での漁が本格化する今後に期待を寄せる。
大船渡市魚市場の水揚げは3436トンで前年同期比2.8倍。平均浜値は1キロ当たり256円で前年同期の4割安となった。大船渡市の鮮魚店経営上野英明さん(67)は「サイズが大きく、全国発送も9割まで終えて順調だ」と言う。
他漁港も気仙沼が2742トン(4.4倍)、女川(宮城県)が2315トン(9.2倍)、宮古が1286トン(11.4倍)など。9月上、中旬に一時水揚げが途絶えたが、その後は復調した。
漁業情報サービスセンター(東京)によると、魚群が三陸沖に南下するのは10月中旬の見通し。水産庁は漁期全体で昨年の漁獲量を上回ると予想するが、サンマの資源そのものは近年、減少しているという。
大船渡市の水産加工森下水産の森下幹生社長は「冷蔵庫の稼働状況はそれほどよくない。以前のような大漁は見込めないだろうが、せめて水揚げが安定してほしい」と話す。