東北の企業、ユニーク休暇広がる 家族の誕生日、学校行事に

 恋人の誕生日に休む「LOVE休暇」、子どもの学校行事の日に休みを取る「ベストファミリーデー」など、ユニークな休暇制度を取り入れる会社が東北でも増えつつある。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の取り組みで、社員に「取得目的が明確化され、気兼ねなく休める」と好評だ。
 LOVE休暇を設けているのは採用代行業のツナグ・ソリューションズ東北支社(仙台市、本社東京)。年1回、恋人のほか、家族らの誕生日に休め、プレゼント代として会社から1万円をもらえる。
 支社はコールセンターで、正社員11人が働いている。同社は前年10月から9月末までの事業年度を採用しており、本年度は今月までに2人がLOVE休暇を取った。
 棟方美加子さん(25)は姉の誕生日に使い、五所川原市の実家に帰省して姉、両親と青森ねぶた祭を見た。1万円で姉にバッグを買ったという。「制度がなければ休みを取らなかったと思う。1万円がもらえるのも大きい」と話す。
 同休暇は2007年の創業時に全社で始まった。経営に遊びを取り入れる方針に基づき、社員が発案し、特別休暇として制度化した。
 髪を切りに行くために半日休む「理美容半休」、映画や演劇を見る「カルチャー&エンタメ半休」もあり、支社ではそれぞれ72.7%、54.5%の取得率を挙げている。
 商工中金山形支店(山形市)は年1回、職員がめいめいに記念日を決めて休日を取る「アニバーサリー休暇」を導入している。年次有給休暇の一つで本人の誕生日や結婚記念日などに用いている。
 ベストファミリーデーは結婚式場のグランドパレス川端(大仙市)が制度化している。子どもの運動会や授業参観、家族のレクリエーションの日に休む。「客を満足させるには従業員が満足する必要がある」として05年にスタートさせ、従業員96人のうち、これまで延べ23人が取得した。
 山口拓也総務部長(34)は「学校行事が行われる土日、祝日は結婚式が立て込み、休みを取りにくい雰囲気だったが、制度導入で改善されたのではないか」と言う。
 情報機器設計の沖データシステムズ(福島市)は目的別休暇制度を設けている。社員の入院などに限られた従来の特別休暇の取得対象を子どもの学校行事、家族の看護、ボランティア活動などにも広げた。年50日を限度に取れる。
 社員の要望を受けて06年に制度化し、09年度は正社員の5分の1に当たる延べ40人が使った。最も多い利用目的は「学校行事に出るため」で、社員も「堂々と休める」と喜んでいる。
 宮城県社会保険労務士会の大江恵子副会長は「休みを取りにくい職場環境が依然として残る中、工夫を凝らした休暇制度を導入することで休みの取得率がより高まるのなら、ワーク・ライフ・バランスの観点からも良いことだ」と語っている。

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