東北の地銀・第二地銀 3月期決算は10行増益5行減益 与信費用が圧縮傾向

東北の地方銀行と第二地銀15行の2023年3月期決算が出そろった。過去最高益を更新した七十七銀行含む10行が単体ベースで増益、5行が減益となった。純利益の合計はきらやか銀行の大幅赤字が全体を押し下げ、前期比13・9%減の478億円。外国債券の価格が下落した影響などで国債等債券損益で赤字が相次いだ一方、低水準の企業倒産を背景に与信関係費用の圧縮傾向が続き、店舗統合など経費削減も寄与した。

 各行の主な決算内容は表の通り。

 純利益が前期比17・3%増えた七十七銀の小林英文頭取は「新型コロナや仕入れ価格上昇に伴う運転資金ニーズと、不動産設備投資の資金需要を積極的に把握し、貸出金が増えた」と増益要因を総括した。

 減益となった東邦銀行は、海外の金利上昇で価格が下落した外国債券を売却し損失処理した。佐藤稔頭取は「マーケット変動の影響が大きい1年だった」と振り返った。

 不良債権処理費など与信関係費用は10行で減少した。山形銀行は取引企業の債権分類がランクアップした結果、貸倒引当金の戻し入れ益があった。長谷川吉茂頭取は「丁寧な支援や経営改善を行ってきた結果だろう」と語った。

 昨年4月に青森銀と経営統合したみちのく銀行は、4億円超の戻し入れ益があった前期から一転、与信関係費用36億円を計上した。両行の共同持ち株会社プロクレアホールディングス(青森市)の成田晋社長は「統合に向けて基準を青森銀と統一したことで、差額が生じたため」と説明した。

 本業のもうけを示すコア業務純益は8行が増加、7行で減少と明暗が分かれた。前期比7・7%増となり、2月には公的資金を完済した北都銀行の伊藤新・頭取は「有価証券利息配当金の増加に加え、店舗統合などで経費削減が進んだ。コンサルティング営業の展開も寄与した」と語った。

 24年3月期は4行・1グループが増益、5行・2グループが減益を予想した。

 秋田銀行の新谷明弘頭取は増益を見込みつつ、実質無利子無担保の企業向け融資(ゼロゼロ融資)の返済が今後本格化することに触れ「急激に倒産が増える状況ではないと考えるが、楽観もできない」と述べた。

〔注〕単位は100万円。単体ベース、業績予想は連結。荘内と北都はフィデアHD、仙台ときらやかはじもとHD。青森とみちのくはプロクレアHDの業績予想。かっこ内は前期比増減%、与信関係費用は前期実績。▲はマイナス。△は戻し入れ益。きらやかは今期赤字のため純損益の比較はなし。

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