東北の基準地価、下げ幅改善 仙台は上昇率が拡大

国土交通省が20日発表した7月1日時点の都道府県地価(基準地価)の東北6県平均は、住宅地で前年比マイナス0・4%、商業地でマイナス0・3%だった。新型コロナウイルス流行の影響が和らいだことで回復の局面に入り、下げ幅はともに縮小。コロナ禍でも地価が上がっていた仙台市は、上昇率が拡大した。

 6県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。東北の下落幅は住宅地で0・3ポイント、商業地で0・5ポイントそれぞれ改善した。住宅地は24年連続、商業地は3年連続でマイナスとなった。

 札幌、広島、福岡3市と並び、地価の値上がりが目立つ仙台市の住宅地の上昇率は5・9%に及んだ。地下鉄沿線の徒歩圏を中心に住環境が良好な地域に加え、周辺自治体にも需要が広がった。

 富谷市富ケ丘2丁目の上昇率13・8%が東北一を記録するなど、仙台圏の旺盛な取引が東北で唯一プラスの宮城県(1・3%)をけん引した。上昇幅は1・0ポイントと伸びた。

 宮城県の商業地は上昇率が福岡県(4・0%)に次ぎ、全国2位の2・7%。仙台駅周辺のオフィス需要が堅調で、上昇幅は1・1ポイント拡大した。東北大農学部跡地の周辺など、仙台市中心部の再開発事業も地価を押し上げた。

 宮城以外の東北5県では、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、住宅地の下落率は青森、岩手、秋田、山形4県で改善した。福島県(0・5%)は横ばい。商業地の下落率は5県で縮小したが、岩手県(1・7%)は前年に続いて全国ワーストタイだった。

 福島県の住宅地、商業地は2020年から3年連続のマイナスだった。住宅地の下落率は郡山市十貫河原(8・7%)が全国ワースト、いわき市平中平窪西高砂(7・8%)が4位。19年の台風19号による浸水被害が響いた。

 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県内12カ所と、20年7月豪雨の被害が大きい熊本県内1カ所の計13カ所で調査を休止している。

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