東北の夏休み 海外はグアムなど定番リゾート地が人気

 東北の夏の旅行商戦が活気づいている。仙台市内に営業拠点を持つ旅行会社によると、東北発は東日本大震災前と比べても2~3割増。海外はグアムなど定番リゾート地が人気で、国内は北海道の予約が目立つ。特にレイトサマー期と呼ばれる9月の予約が好調だ。ただ東北を訪れる旅行は回復傾向にあるものの、依然として低調で、旅行各社は「震災前の水準にはまだ戻っていない」と口をそろえる。
 「海外旅行は史上最高に匹敵する伸び」と手応えを強調するのは、JTB東北の石橋信司仙台支店長。震災で自粛ムードだった昨夏の反動と円高効果で、震災前の2010年を約2割上回る予約状況という。
 仙台空港発着のチャーター便は、8月上旬のグアム、ハワイ行きが満席に近い。近場のアジア方面も定期便が復活し、人気は健在。熟年層を中心に欧州も増えている。
 エイチ・アイ・エスも予約は10年比で10%以上の伸び。韓国・ソウル、グアム、ハワイなどが堅調で海外挙式の需要も多い。東北営業グループ(仙台市)の遠藤正巳商品造成チームリーダーは「海外ビーチの人気が高い。震災後、東北で海水浴場が激減した影響も考えられる」と指摘する。
 国内旅行も震災前の水準を上回る。「今夏は北海道人気が顕著。特に函館方面がいい」と、近畿日本ツーリスト東北(仙台市)の平野雅伸個人旅行事業部長。東北新幹線で行くツアーが好調で、10年12月の新青森駅開業の効果が表れたとみる。
 トップツアーも札幌方面が10年比1.5倍で、仙台空港発着の札幌便は航空券の入手が難しくなっているという。佐竹晃仙台支店長は「自然災害の印象が薄い北海道を選ぶ心理が、東北の人にあるのかも」と話す。
 両社は「首都圏方面も悪くない」とも。5月の東京スカイツリー開業効果や根強い東京ディズニーリゾート人気が支えている。
 国内外合わせた月別の予約状況は、7月が10年並みで、8、9月の伸びが大きい。近畿日本ツーリスト東北は「8月は4割増」、JTB東北も「8月は2割増、9月は3割以上の伸び」という。
 特に9月は土曜を含む3連休が2回あり、旅行各社が積極的に商品を売り出している。仙台空港発着のチャーター便の企画も多い。
 JTB東北の石橋支店長は「子どもの秋休みに合わせ、大人が休暇を取る傾向が強い。初秋の方が旅行料金が安いことも関係している」と話す。

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