東北地域へのインバウンド(訪日客)が伸び悩んでいる。東北運輸局が13日発表した3月の東北の外国人宿泊者数は、全県で新型コロナウイルス禍前の2019年3月を下回り、全国に占める東北のシェアも低いままだ。田中由紀局長は定例記者会見で「勢いのある(海外の)市場に東北の情報が届いていない可能性がある」と積極的な情報発信の必要性を指摘した。
3月の東北の外国人宿泊者数は表の通り。19年3月比は約2~5割のマイナスとなった。
田中局長はインバウンドの現状を「東京一極集中。全体的に地方のシェアが減っている」と解説した。コロナ禍前から大きかった東京のシェアが広がり、今年3月には約4割に拡大。東北は19年3月の1・1%から0・9%に縮小した。
東北への旅行者の構成は台湾、東南アジアの比率が高く、米国や欧州の割合は低いが、インバウンド全体では米国の比率が19年3月の8・3%から、23年3月は14・5%に伸びている。
田中局長は「コロナ前の有力市場だけでなく、世界の動向を見る必要がある」と強調した。
東北3月宿泊者数は前年同月比32・9%増
東北運輸局が13日に発表した東北の3月の宿泊者数(速報値)は日本人・外国人合わせて延べ305万7020人で、前年同月を32・9%上回った。新型コロナウイルス禍前の2019年同月比は13・0%減。減少幅は縮小しているものの、他地域と比べて回復が鈍い状況が続く。
県別は福島88万9420人、宮城82万1510人、岩手45万6650人、山形37万4760人、青森31万8840人、秋田19万5840人で前年同月から16・5~43・1%伸びた。19年同月比は青森のみ5・3%プラスで、他5県は7・6~21・5%減だった。
全国の増減率は前年同月比が51・5%のプラス、19年同月比は0・9%のマイナスで、ほぼコロナ禍前の水準となった。
東北の状況について、運輸局は国内旅行の回復率の低さを懸念する。3月の日本人宿泊者数は19年同月比12・4%減。23年2月に続き、地域ブロック別の全国ワーストで唯一、2桁台のマイナスとなった。