日銀仙台支店は24日、東北の3月の金融経済概況をまとめた。東北の景気は「新型コロナウイルス感染症の影響などから、このところ弱い動きとなっている」として、「弱めの動きが広がっているものの、緩やかな回復を続けている」だった前回までの判断を昨年3月以来、1年ぶりに下方修正した。
景気判断から「回復」の文言がなくなるのは、東日本大震災の半年後に当たる2011年9月以来、8年6カ月ぶり。
個人消費は「消費税率引き上げなどの影響による振れを伴いつつも、底堅く推移」から「弱い動き」に下方修正。来店者数減少などでコンビニエンスストアは「増加」を「横ばい」に、百貨店は「弱めの動き」を「減少」に、乗用車販売も「弱含んでいる」を「減少」にそれぞれ引き下げた。
生産は「弱含んでいる」を据え置いた。中国からの部品や素材の調達停滞は一部にとどまっており、半導体製造装置の受注が好調な生産用機械等は「増加」、新型車の生産が本格化した輸送機械は「底堅い動き」にそれぞれ上方修正した。
雇用・所得は「改善している」との表現を削除。有効求人倍率が高水準ながら低下したことも踏まえた。住宅投資は「高水準ながらも一段と減少」、公共投資は「高水準ながらも減少」、設備投資は「横ばい」を維持した。
岡本宜樹支店長は「新型コロナの影響が個人消費全般に広がり、観光や飲食といったサービス消費関連の業界は特に厳しい状況にある。生産への影響は一部にとどまっているが、感染拡大の長期化による今後の下振れリスクを注視する必要がある」と説明した。