東北の満足度 生活○教育△ 外国人研究者500人調査

 外国人研究者にとって東北は暮らしやすいが、子どもの教育や配偶者の就業環境への満足度は低い―。東北経済連合会が13日まとめた研究報告で、こんな実態が浮き彫りになった。優秀な外国人研究者の定着は、東北の産業競争力強化に不可欠とされ、報告書は産学官連携による環境整備の重要さを強調。インターナショナルスクールなど国際的な教育機能充実の必要性を指摘した。
 報告書は、東北大など東北の主要10大学に勤務する外国人研究者514人(有効回答313人)を対象に行ったアンケートなどを分析した。
 その結果、総合的な生活環境では「満足」「やや満足」を合わせた回答が90%以上を占めた。
 一方、個別項目で(1)就業(2)交通(3)住宅環境(4)医療(5)子どもの教育―については外国人研究者にとって優先度が高いにもかかわらず、満足度が低かった。具体的には「配偶者などの就業」で「不満」「やや不満」が計4割を超えるなど、妻らが仕事を持つ機会が限られ、地域社会から孤立しがちなことへの不満が目立った。
 「交通」では公共交通機関の利便性、「住宅」では敷金・礼金など日本独特の習慣が課題に挙がり、「医療」は症状などを説明しにくい言葉の壁が問題点となっている。「教育」ではインターナショナルスクールへの高いニーズと、施設が不足する現状との隔たりが浮き彫りとなった。
 研究報告は課題ごとの対応策も提示し、就業では「大学側が配偶者に能力に応じたポストを用意することも必要」などとした。
 東経連は「東北の総合評価は比較的高く、イノベーション(革新)創出の基盤となる優秀な人材の受け入れ、定着の拡充も可能。産学官で課題を一つ一つ解決していきたい」と話している。
 外国人研究者の定着促進については東北大、宮城県、仙台市、東経連のトップによる産学官連携ラウンドテーブルが09年1月、対応策を検討する方針で一致。東経連は有識者による研究委員会を設置した。アンケートは東北電力の委託で東北開発研究センターが行った。

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