2020年夏季五輪の東京開催決定を受け、東北の知事は9日、「東日本大震災からの復興に弾みがつく」と歓迎した。被災地では人手不足や資材高騰で復旧・復興に遅れが出ており、五輪関連工事による悪影響への懸念も出た。
◎「勇気与える」「復興に遅れ」
佐竹敬久秋田県知事は定例記者会見で「喜ばしいニュースだ。震災復興や自信を失いつつある日本の再生につながる」と喜んだ。
達増拓也岩手県知事は「国民に大きな勇気や希望を与える。被災地の活力向上、復興の後押しにつながると確信している」との談話を出した。
宮城スタジアム(利府町)で男女サッカーの1次リーグが開かれる予定の宮城県。村井嘉浩知事は記者会見で「本当に明るい話題。ぜひ復興した姿も見てもらえるようにしたい」と評価した。
村井知事は「東京都など関わる自治体は人手不足になり、被災地に人を出す余裕がないということになりかねない。建設資材がさらに足りなくなる可能性もある」とも指摘。職員派遣や資材調達に関し、東京都や国と調整に入る考えを示した。
安倍晋三首相は国際オリンピック委員会総会で、福島第1原発の汚染水漏れについて「状況はコントロールされている」と明言した。
この説明に違和感を示したのは吉村美栄子山形県知事。記者会見で「福島県の皆さんからは、どうなのかという反応もあったが、私もそう思った。首相が復興に向け、しっかり取り組んでいく意味と受け止めたい」と述べた。