仙台国税局が1日発表した2024年の東北52税務署別の最高路線価(1平方メートル当たり)は5県の15地点で上昇し、23年より2地点増えた。横ばいも2地点多い30地点となり、下落は4地点減って7地点だった。観光地として知名度を高める盛岡市中心部や、宮城県石巻市の工業地域が上昇に転じた。東日本大震災で被災した沿岸の岩手県宮古市や宮城県気仙沼市、人口減少が進む秋田県能代市などでは下落傾向が続いた。
▶青森
7税務署の最高路線価で上昇した地点はなく、いずれも横ばいとなった。
最も高かったのは33年連続で青森市の「新町通り」で、価格は3年連続の横ばい。前年に下落した弘前市の「駅前商店街通り」は変動がなかった。三沢市の「30ロード商店街通り」は9年連続で横ばいだった。
前年まで14年続けて下落していた標準宅地の平均変動率は下げ止まり、横ばいにとどまった。
▶岩手
最高路線価は33年連続で盛岡市大通2丁目の「大通り」で2・3%上昇した。プラスは4年ぶり。米紙ニューヨーク・タイムズの「訪れるべき観光地」への選出を背景に、観光を含む客足がコロナ禍前より大幅に回復している。
盛岡以外の税務署の最高路線価は4地点で下落し、4地点は横ばい。花巻、大船渡、久慈は横ばいから下落に転じた。標準宅地の平均は2年連続で上昇。
▶宮城
10税務署の最高路線価は前年同様、仙台圏中心に7地点で上昇した。原油高や不漁で漁業・水産加工業が打撃を受ける気仙沼は地域経済の苦境を反映し、3年連続のマイナス。佐沼と築館の2地点は前年に続いて変動がなかった。
最高路線価を68年連続で維持する仙台市青葉区の「青葉通」は、バブル後の1996年の水準に近づきつつある。標準宅地の平均変動率は5・1%だった。
▶秋田
8税務署の最高路線価のうち秋田南、秋田北、本荘の3地点で上昇。横手、大館、湯沢、大曲の4地点で横ばいだった。
トップは33年連続で秋田市の「秋田駅前通り」。ホテルやマンションの開発を背景に3・8%上昇した。商店街の空き店舗が目立つ能代市の「柳町通り」は前年の横ばいから唯一、下落した。標準宅地の平均変動率は0・9%上昇し、2年連続のプラスとなった。
▶山形
8税務署の最高路線価は村山で上昇し、他の7地点は横ばいとなった。「下落なし」は、現在の計算方法となった2010年以降で初めて。不動産鑑定士によると、市部では住宅需要が堅調に推移している。
トップは50年連続で山形市の「山形駅前大通り」。変動率は横ばいが続いた。東根市の「さくらんぼ東根駅前通り」は5年連続の上昇。標準宅地の平均変動率は0・3%プラスだった。
▶福島
10税務署の最高路線価は3地点で上昇、6地点が横ばいで、下落は1地点だっった。標準宅地の平均変動率は0・9%プラスと、3年連続の上昇となった。
トップは郡山市の「郡山駅前通り」で31年連続。コロナ禍後の人出回復への期待や、マンション開発を背景に3・2%上昇した。いわき市の「いわき駅前大通り」も3・6%プラス。会津若松市の「神明通り」は唯一、下落した。