東北6県と新潟県の電力需要に占める太陽光・風力発電比率(速報値)が、5月の大型連休中に過去最高の77.5%に達したことが分かった。新型コロナウイルスの影響で大口需要が減ったとみられる一方、太陽光や風力の発電量が大きく伸びた。これまでの最高は2019年5月4日の64.8%。
東北電力ネットワーク(仙台市)によると、晴天となった5日の午後0時台、需要約709万キロワットに対し、太陽光と風力の出力は過去最高の計約550万キロワット(太陽光約510万キロワット、風力約40万キロワット)に上った。
7県では大型連休中、政府の緊急事態宣言や自治体の休業要請を受けた大型商業施設の休業、工場の稼働停止が続き、日中の需要は前年同時期より約5%減少。太陽光・風力の発電比率は2日にも71.0%を記録した。
火力発電の出力抑制により、太陽光や風力の事業者に一時的な発電停止を求める「出力制御」は回避した。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まった12年度以降、7県では再生エネの普及が進む。1月末現在、送電網に接続済みの太陽光施設は550万キロワット、風力施設は158万キロワット。このほかに申し込み済みが太陽光624万キロワット、風力276万キロワットあり、発電量はさらに拡大する見込みだ。
課題は再生エネなどの電力を受け入れる空き容量の不足。ネットワークは青森、岩手、秋田3県で送電網の増強工事を進めるほか、災害など緊急時用に確保している送電線に電源接続を認める仕組みを運用する。
ネットワークの担当者は「太陽光や風力などの再生エネは環境面や電力の安定供給面から重要な電源。再生エネの接続拡大を図るとともに需給バランスの維持に努める」と説明する。