東北・13年産米 概算金3年ぶり下落 高値続きで大量在庫

東北の全農各県本部が農家から販売委託を受けた際に支払う2013年産米の概算金が、21日までに出そろった。各県のほとんどの主要銘柄は3年ぶりに下落に転じ、前年比1000~2000円台のダウンとなった。東日本大震災以降、高値が続いた影響で12年産米は消費が低迷し、近年では最大の在庫が発生している。各県本部は売り切りを優先し、控えめの価格を設定したとみられる。
 各県本部が決めた概算金(60キロ、1等米)は表の通り。秋田のあきたこまちは2000円(14.8%)、福島のコシヒカリ(中通り、浜通り)は2300円(17.2%)引き下げ、下落率が大きかった。
 デビュー4年目を迎えた山形のつや姫も、前年比1800円安く設定された。初めての概算金下落となったが、昨年に引き続き、ブランド米の新潟のコシヒカリ(一般)と同価格を維持。山形県本部は「高級ブランド米として徹底的に売り込む。概算金も新潟と同額とし、トップを争う」と鼻息が荒い。
 農林水産省によると、13年6月末時点の民間流通の在庫量は前年同期より46万トン多い226万トンで、過去10年間で最大となっている。
 各県本部は、震災の影響が落ち着き、家庭、中食・外食産業とも消費が減退して在庫が発生したとみる。秋田県本部は「震災後、家庭ではコメを使い切る前に新しいコメを購入する買いだめの傾向があった。今は使い切ってから買う形に戻った」と分析する。
 昨年産までは市場の品薄感を背景に、全農各県本部と農協系統以外の業者が集荷競争を展開。青森県本部は「昨年の今の時期は多くの集荷業者が個々の農家と交渉していたが、ことしはそういう動きがない」と明かす。
 高値で推移した米価を敬遠する消費者の動きが広がっており、岩手県本部は「12年産米の販売持ち越しは40万トンに及ぶと見込まれる。供給過多の状況だ」と懸念する。
 8月末に発表された東北の13年産米の作柄概況は青森、福島がやや良、他の4県は平年並みが予想されている。
 宮城県本部は「豊作になればさらに在庫が積み上がる可能性もある中、現時点で見通せる最大限の価格を付けた」と話す。福島県本部は販売促進に力を入れる方針で「追加払いできるよう努力したい」と強調する。

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